【漫画】買い物して店員にお礼を言った客、周囲に笑われ「おかしいの？」 経済学的には「正しい」
お店でお酒を買った女性が、店員さんに「ありがとうございます」とお礼を言いました。しかし周囲の人に「お客なのにお礼を言ってる」と笑われて……。客が店員にお礼を言うのはおかしいのでしょうか？ 小島アジコさんのマンガに反響が集まっています。
客が店員に「ありがとう」と言うのはおかしい？
お店でお酒を買った女性が、店員さんに「ありがとうございます」とお礼を言いました。しかし周囲の人たちが「あの人、お客なのにありがとうございますって言ってる」「おかしいね」と話すのを聞き、女性は恥ずかしくなり……。
Twitter（現：X）で公開された、漫画家の小島アジコさん（ @ajico_k ）によるマンガ『買物をしたときに店員さんに「ありがとう」というのは経済学的に間違ってない漫画』をご紹介します。時々議論となる「客がお礼を言うべきか」問題ですが、それを経済学の視点から解説した作品。しかしラストでは理屈を超えた「人間の心」が問われています。
読者からは「買い物したら普通に言います」「プライスレスの価値は確実にある」「店員はお礼を言われるとうれしい。言ったほうがいい」「おかしいと言う人の思考が理解できない」などの声があがり、2022年9月に投稿されたツイート（ポスト）には350件を超えるコメントと3,2万いいねが集まる反響がありました。
作者の小島アジコさんは、ブログ「orangestarの雑記」に投稿していたマンガ『となりの801ちゃん』が出版社の目にとまり、単行本化されたことがきっかけで漫画家デビュー。今回の作品については、「経済学や理屈抜きでただ『ありがとう』と言えるのがいい社会だなと思う」とコメントしていました。本作は電子書籍で発売中の短編集『ここは悪いインターネットですね』（全3巻）に収録されています。
作者の小島アジコさんに、お話を聞きました。
ーー今回の作品を投稿後、作者として、反響後の変化などはありましたか？
フォロワーが500人くらい増えました。
ーー作品を通して、ご自身に変化はありましたか？
このマンガを描いたあと、バスに乗るときや買い物をしているときに、何となくほかの人はどうしているのかを見るようになりました。見ていると、思っていたよりも多くの人（体感的には70％くらいの人）が、直接「ありがとう」と言ったり、軽く会釈をしたりと、あいさつとしての感謝のコミュニケーションをしているようでした。
ーーマンガを投稿なさってから1年が経ちましたが、接客する側とされる側のコミュニケーションの現状について、どのように感じていますか？
以前から、チェーン店系の居酒屋やファーストフードのお店などで、タブレットによる注文システムはありましたが、このマンガ以降、急速に普及していると感じています。（多分コロナ明けの人手不足のせいもあると思うのですが）
便利ではあるのですが、人と人とのコミュニケーションが少なくなって、人と人との触れ合いというか、感謝のコミュニケーションのようなものがなくなっていっているように思いました。古い考えかもしれませんが、そういう店頭でのコミュニケーションも、（うまく回っていれば）お店に行くモチベーションや働くモチベーションになっていたと思うので、少し残念に思います。
ただ、一部のファミリーレストランで使われているような配膳のロボットには、そのような客と店員（ロボット）のコミュニケーションが存在しているように思えるので、システムの形の作り方次第ではあるとは思うのですが……。
ーーコロナ禍を経て、人とのコミュニケーションの面では大きな変化が見られますね。今後の社会について、何か思うことはありますか？
今は人間を介する経済活動から人間を介さない経済活動への過渡期ですが、そこにどうやって「人とのふれあい（または“ふれあってると思わせる何か”）」を仕組みとして作っていくのかが今後の社会の課題だと思います。
人とのコミュニケーションを煩わしいと思う人も多いと思っていたのですが、上述したように、多くの人間が店員さんやバスの乗務員さんのような方たちと何らかの「コミュニケーション」をとっています。そういうものがなくなったときどうなってしまうのか、少しの興味と、不安があります。
（マグミクス編集部）
