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なぜ『葬送のフリーレン』はヒットした? 「ギャグの緩急が絶妙」「淡々と平和じゃないのが良い」さまざまな意見

豊作といわれる2023年秋アニメのなかでも、『葬送のフリーレン』はひときわ注目度が高い作品です。なぜここまで多くの人の心をつかむことができたのか、不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。

正統派ファンタジーでありながら「斬新」な設定

アニメ『葬送のフリーレン』ティザービジュアル (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
アニメ『葬送のフリーレン』ティザービジュアル (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 原作屈指の人気エピソード「断頭台のアウラ編」が終わり、アニメ『葬送のフリーレン』の話題性はますます高まっています。ここ数年のアニメ業界でも珍しいほどのブームを呼んでいる最中ですが、なぜそんな人気を獲得することができたのでしょうか。本稿では同作にハマっている視聴者たちの意見を取り上げ、ヒットの理由を探っていきます。

 たとえば『葬送のフリーレン』の感想としてよく見られるのが、オリジナリティあふれる設定を絶賛する声です。ネット上では、「ただのファンタジー作品かと思って長年敬遠していたが、良い意味で裏切られた」「使い古された正統派ファンタジーの世界観ながら、既視感を感じさせない設定とストーリー」などと評価されていました。

 同作はジャンルとしてはハイファンタジーですが、指輪を破壊したり、魔王を倒したりするわけではなく、魔王を倒した「後」の世界が物語の舞台です。主人公のフリーレンはかつて勇者たちと共に魔王を倒した魔法使いでありながら、長寿のエルフでもあるため、魔王を倒した後の人生のほうがはるかに長いという設定でした。

 魔王を倒しても世界は続いていく……。そんなある種当たり前の事実を再確認するような物語に、「たしかに」とハッとさせられた人は多いのではないでしょうか。

 ほかにも『葬送のフリーレン』には、画期的な設定がいくつも散りばめられています。勇者一行の活躍によって魔王はいなくなったものの、その後の世界も残党の手下たちが生き残っているため、あまり平和ではありません。

 また、かつて恐れられていた「人を殺す魔法(ゾルトラーク)」が研究し尽くされ、今では「一般攻撃魔法」と呼ばれていたり、苦戦を強いられそうな七崩賢のひとり、アウラとの戦いがあっさり終わったり……。視聴者にリアリティを感じさせる描写を積み重ねている印象です。そんな物語のお約束を丁寧に廃した作風が、現代のアニメファンに響いているのではないでしょうか。

 さらに原作をすでに読んでいたファンのあいだでも、アニメ『葬送のフリーレン』の評価は高いようです。原作は読者に静けさを感じさせるような空気感が魅力でしたが、アニメではその空気を壊すことなく、アクションシーンの躍動感をプラスしています。

 そのためSNSなどでは、「あの独特の世界観を壊さずにうまく表現していてびっくりした」「アニメならではの見応えを完璧に作り出している」と評価する声が後を絶ちません。

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