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『キカイダー01』後半で実質主人公に? 大人も釘付け「ビジンダー」初登場から半世紀

子供には早すぎるセクシー描写で釘付けになる視聴者

2000年代にOVAとして製作された『キカイダー01 THE ANIMATION Re Edition 後編』DVDジャケットに、ビジンダーが描かれる(画像:アニプレックス)
2000年代にOVAとして製作された『キカイダー01 THE ANIMATION Re Edition 後編』DVDジャケットに、ビジンダーが描かれる(画像:アニプレックス)

 ビジンダーに変身するマリを演じる役者は、後にアクション女優の第一人者にまで上り詰めた志穂美悦子さんです。筆者たちリアルタイム視聴世代には絶大なインパクトを与えた女優です。

 本作の放映中、志穂美さんはまだ高校生でした。千葉真一さんのアクションに惚れ込み、主宰するジャパンアクションクラブ(JAC)に入ってアクション女優を目指したという経歴を持ちます。

 その華麗かつ豪快なアクションは子供心をわしづかみにするわけですが、それだけではない魅力がマリにはありました。ミニスカートでの激しい立ち回りです。当時の男の子にとって、かなりのセクシーヒロインだったと言えるかもしれません。

 子供番組でセクシー要素は不要と思う人もいるでしょうが、この時代はそういうことにおおらかでしたし、何よりも放送時間が土曜日20時という時間帯で、続いて20時半から放送されていたのが『キューティーハニー』でした。さらに裏番組はオバケ番組だった『8時だョ!全員集合』があったので、お父さん層に向けての処置という面もあったかもしれません。

 これに加えて、前述したマリに内蔵された水爆がポイントでした。マリには激痛回路が内蔵され、シャドウの指令電波によって悶絶してしまうという仕掛けがあったのです。しかも、あまりの苦しみに耐えきれず胸のブラウスのボタンを外すよう懇願するよう仕掛けられていました。そして上から3番目のボタンの外すと、水爆が爆発する仕組みになっていたのです。

 この時の志穂美さんの演技がなまめかしく、子供も大人もTVの前に釘付けとなりました。印象的な場面で、敵幹部ザダムが「第1ボタン」「第2ボタン」とカウントするさまは、視聴した世代は誰もがマネしたことでしょう。

 実はこの描写は脚本担当であった長坂秀佳さんのアイディアでした。本来はアダルト向けに考えたギミックだったそうです。視聴者が悶々とした気分で観ていたのも納得というものでしょう。

 もちろん、こういったセクシー描写だけがマリの魅力ではありません。時には敵ロボットの残した子供を育て、結果的に葬ることになるという悲劇もありました。また、人間の男性から好意を持たれて悩むドラマも描かれています。

 前述しましたが、主人公であるイチローが完璧なヒーローであったがゆえ、後半のドラマチックな展開はマリが背負うことになりました。それゆえに魅力的なキャラクターとして印象に残ったワケです。

 完全な余談ですが、ビジンダーが初登場した12月8日には、もうひとりヒーローが初登場していました。『仮面ライダーV3』のライダーマンです。奇しくも同じ日にTVで初登場しました。同じTV局で30分前だったこともあり、当時は新ヒーロー初登場が続いたというわけです。

(加々美利治)

【脚がすごい!】ビジンダー役・志穂美悦子さんのアクション作品たち(5枚)

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