「冒頭から衝撃」「地上波ムリなR指定」 名作だがトラウマなアニメ映画たち
毎年何本も作られるアニメ映画のなかには、アニメゆえの恐怖演出や残酷描写、性描写でトラウマ級の衝撃を与えてくるものもありました。代表的作品を振り返ります。
地上波放送はされたけど?
名作として語り継がれるアニメ映画のなかには、インパクトが強く、観た人にトラウマを与えるような作品もありました。今回は、大人でもトラウマになりかねない、過激なシーンもあったアニメ映画を振り返ります。
●『AKIRA』
1988年に公開された映画『AKIRA』は、原作者の大友克洋先生が自ら監督も手掛けた作品です。新兵器や超能力の研究が進められた近未来の世界で繰り広げられる戦いが、作画枚数約15万枚の細かいアニメーションで描かれた同作は、日本を代表する名作アニメ映画と言えるでしょう。
2020年に4Kリマスター版が全国の映画館で上映されるほどの人気作である一方で、グロテスクな表現が多い「衝撃シーンが多くてトラウマになりました」「人体破壊中心に気持ち悪い場面が多くて怖い……」「作画が凄い分、残酷描写のインパクトも飛びぬけてる」などの感想があるのも事実です。
例えば主人公・金田の不良仲間である鉄雄の力が暴走するシーンや、鉄雄のガールフレンド・カオリが肉塊で圧死するシーンは、忘れがたい人も多いのではないでしょうか。
超能力で人体が爆発する場面や、バイクで腕をひかれる描写など、衝撃的で痛みがしっかり伝わるシーンがハイクオリティなアニメーションで描かれているため、苦手な人は注意が必要な作品かもしれません。
●『パーフェクトブルー』
1998年公開で、2023年にリバイバル上映されたアニメ映画『パーフェクトブルー』は、「現実と虚構の交差」がコンセプトの今敏監督の作品です。アイドルから女優に転身した主人公の霧越未麻のとまどいや葛藤と同時に猟奇殺人事件を描いたサイコホラー作品で、グロテスクなシーンや性描写も多数描かれています。同作はR15指定となっており、地上波では見ることができません。
女優に転身した未麻は、強姦シーンの撮影やヌードといった過激な仕事もこなす一方で自身のイメージと現実とのギャップに悩みます。ファンからも精神的に追い詰められ、アイドル時代の自分の幻影を見るほど精神が蝕まれていきました。「被害者が精神的に追い詰められていく様子」がアニメーションならではの演出で描かれているため、見ているほうもくらくらするような感覚に襲われます。
殺人描写もリアルで、刃物で何度も刺されたり、目がくり抜かれたりした悲惨な死体の場面に関し、「二度と見たくないくらいトラウマで恐怖だった」「グロいシーンに鳥肌が立つ」といった声もあがっていました。
未麻が演じる強姦シーンに「涙が出た」「いきなりあんな仕事しなきゃいけないのが生々しすぎる」「観ていて胸が苦しくなった」といった声もあり、見るのに覚悟がいる作品なのは確かです。とはいえ、終盤の衝撃的な展開含め、多くのアニメ・映画好きから傑作として支持されています。
●『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』は、90年代に人気を博したTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のもうひとつの結末として、劇場版完結編として公開された作品です。TV版の第25話と26話の最後2話のリメイク作で、「旧劇場版」とも呼ばれています。
同作は冒頭から衝撃的で、開始3分ほどで主人公シンジの自慰行為が流れ、他にもミサトとシンジがキスするシーンや、ミサトと加持が性行為におよぶシーンも描かれており、過激な描写が多い作品でした。
特に衝撃的なのが、2号機が量産型に食べられ、アスカが痛みに苦しんでいる姿でしょう。さらに綾波レイの首や手がちぎれたり、シンジがアスカの首を絞めたりとグロテスクな描写が多数あり、「何回見てもグロすぎる」「心がぐちゃぐちゃになる」などのレビューも散見されます。
あまりの過激さから「地上波での放送は難しいのでは」と言われていましたが、2014年に日本テレビで深夜放送が実現しました。しかし、いくつかのシーンがカットされたり、静止画や真っ黒な画面で音声のみ流れたりといった処理がおこなわれ、視聴者から賛否の声もあがっています。
(マグミクス編集部)