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エアリスの運命を変えたい…『FF7』の都市伝説「水中呼吸のマテリア」を大勢が信じた背景

1997年、初代PlayStationで『FF7』が発売されて少し経つと「水中呼吸のマテリア」なるアイテムのウワサが全国を駆け巡りました。「そのアイテムがあると何ができるのか」「なぜウワサが飛び交ったのか」の両軸から当時を振り返ります。

ゲームキャラの中で最も“生きることを望まれた”ヒロイン

『ファイナルファンタジー7』より
『ファイナルファンタジー7』より

 2月29日(木)にPlayStation 5で発売された『ファイナルファンタジーVII リバース』からさかのぼること27年。1997年の春頃は、当時初代PSで発売されたばかりの『FF7』で「水中呼吸のマテリア」なるアイテムのウワサが全国を駆け巡りました。「そのアイテムがあると何ができるのか」、「なぜウワサが飛び交ったのか」の両軸から当時を振り返ります。この記事は『ファイナルファンタジーVII』のストーリーにおける致命的なネタバレを含みますので、ご注意ください。

 1997年にリリースされた『FF7』は、当時のゲームにおいてまだ黎明期だった3DCGによるビジュアルが圧倒的なまでのクオリティを見せたタイトルで、これだけでもゲーム史に名を残すべきといえる1本です。

 また、それと同じくらいの衝撃をプレイヤーに与えたのが「メインヒロインであるエアリスとの別れ」でした。覆すことのできない彼女の死を受け止めきれないプレイヤーたちは、ストーリーを最後までクリアした後でもエアリスが死なずに済む方法がないものか模索したものです。

 やがて、本作が発売されて少し経つと「実はエアリスを生き返らせる方法がある!」というウワサがネットを飛び交うようになりました。そして、そのカギを握るとされるアイテムが「すいちゅうこきゅう(水中呼吸)のマテリア」でした。

 このマテリアは実際には入手することができないもので、いってしまえばこのウワサはデマです。発端はネットの投稿であったそうですが、その翌日に投稿者本人から「これはデマです」と明言されたにもかかわらず「エアリスを復活させることができる」という願いにも似たウワサは全国を席巻しました。

 デマとしてなかなか沈静化しなかった理由は『FF7』発売前のゲーム誌や関連書籍に水中呼吸のマテリアが写り込んだ開発中の画面写真が掲載されてしまったこと、ゲーム中においてクラウドが亡きエアリスを水葬で弔ったことなど複数の要因が重なったからであると考えられており、当時の騒動をまとめた検証動画がYouTubeで公開されています(レアハンターマラリアさんによる動画「(調査)水中呼吸のマテリア~エアリスにまつわる都市伝説」)。

 多くの資料に当たり、当時を知る人たちに聞き込みまで行っているこの動画以上に騒動の詳細を今日に伝えているものはないといってもよいでしょう。そして、筆者としてはこのエアリスに関する都市伝説が全国へ波及した背景には「FFシリーズがそれまでに築いてきた作り込みや隠し要素」も絡んでいたのではないかと考えています。

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