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コンプラ的にもう無理? いつの間にか無くなったマンガ・アニメの「不適切表現」

宮崎駿監督作品の「不適切表現」とは?

『未来少年コナン』Blu-rayメモリアルボックス(バンダイビジュアル)
『未来少年コナン』Blu-rayメモリアルボックス(バンダイビジュアル)

●未成年のタバコ
 現在のアニメで徐々に減少しているのが喫煙シーンです。『ルパン三世』の次元大介や『ONE PIECE』のサンジなどは愛煙家のままですが、多くのアニメでは登場人物が成人でも喫煙シーンはカットされつつあります。

 厳しい扱いを受けているのが未成年の喫煙です。かつては「不良」を示す演出のひとつとしてタバコが使われていました。『あしたのジョー』(70年)ではドヤ街の子供たちがタバコを吸うシーンが描かれています。最年少の女の子・サチがタバコをくわえるシーンまであるのが驚きです。『アパッチ野球軍』(71年)でも不良学生たちが堂々とタバコを喫っていました。

『ど根性ガエル』(72年)のピョン吉とひろしはタバコに否定的でしたが、父を亡くした子を励ますためにタバコの煙で輪を作ろうとしていたクラスメイトの新八と一緒にひろしもタバコを喫ってみせました。『未来少年コナン』(78年)では、12歳のコナンと10歳のジムシィがタバタバという名のタバコを吸う場面があります(あれはタバコではないという人もいますが、どう見てもタバコでしょう)。

『きまぐれオレンジ☆ロード』(87年)の鮎川まどかは15歳にして常習的な喫煙者でした。ただし、第1話でタバコに火をつけようとしたところを、春日恭介の超能力で破裂させられてしまいます。近年では『NANA-ナナ-』(06年)で、主人公で18歳のナナがタバコを吸う場面がありました。電車の中で堂々と吸っていたところも時代を感じさせます(灰皿のある喫煙車両でした)。

 このような未成年の喫煙シーンは、少なくとも地上波で放送される今のアニメに登場することはないでしょう。タバコは20歳を過ぎてから。

●『クレヨンしんちゃん』の「ゾウさん」
 国民的人気アニメ『クレヨンしんちゃん』(92年)の主人公、「嵐を呼ぶ5歳児」こと野原しんのすけは、下ネタ好きで知られています。第1話「おつかいに行くゾ」の登場シーンでは「ゾウさん」をしていました。

「ゾウさん」とは、下半身を露出してゾウの絵を描き、局部をゾウの鼻に見立てて腰を振って踊るというもの。本郷みつる監督は「『しんちゃん』はコレだろう」とプロデューサーたちと共通認識があったと語っています(『クレヨンしんちゃん大全』)。

 しかし、「ゾウさん」の登場回数は徐々に減っていき、近年ではまったく見られなくなってしまいました。脚本家の川辺美奈子さんは「ゾウさん」が禁止されたことを明かしています。幼い男の子が下半身を露出して遊ぶのは「不適切」かどうか議論が分かれそうですが、少なくともテレビ局側は「不適切」と判断したようです。

 一方、「ケツだけ星人」をはじめとするお尻関連のギャグはまだまだ健在なので、これからもしんちゃんのおケツは末永く見続けたいものです。

(大山くまお)

【画像】キャー! これは「『スカートめくり』されていたヒロインたち」です(6枚)

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