『ウルトラセブン』の「ウルトラアイ盗まれ過ぎ」問題 意外とドジだったダン
1967年の『ウルトラセブン』では、モロボシ・ダンがよく変身アイテム「ウルトラアイ」を宇宙人に盗まれていました。伸縮自在で3分間の時間制限のないセブンは、変身後はほぼ万能でしたが、その分、ウルトラアイが宇宙人のターゲットになっていたのです。
モロボシ・ダン2話連続でウルトラアイを盗まれる大失態

1967年放送の『ウルトラセブン』で主人公の「モロボシ・ダン」は、よく敵の宇宙人に変身アイテム「ウルトラアイ」を盗まれたり、紛失したりしてピンチを招いていました。最強のウルトラ戦士とも言われる、「ウルトラセブン」ダンの「ちょっとドジな一面」を振り返ります。
1966年『ウルトラマン』で主人公のハヤタ隊員は、変身アイテム「ベーターカプセル」を落とすことはあっても、盗まれることは一度もありませんでした(盗まれそうになるエピソードが1回だけありました)。『セブン』でウルトラアイが盗まれることが増えたのは、『ウルトラマン』の敵がほとんど怪獣だったのに対し、『セブン』の敵は宇宙人で「セブン」の正体とウルトラアイが変身アイテムであることを知っているからでした。
あろうことかダンは、第3話「湖のひみつ」では「ピット星人」、第4話「マックス号応答せよ」では「ゴドラ星人」が化けた若い女性に油断して、2話連続でウルトラアイを盗まれてしまいます。このような危険性があるなら、チェーンでも着けて体から離れないようにするなどして工夫をすればいいのですが、一向に改善することはありませんでした。そのせいもあってか、第25話「零下140度の対決」では、ダンが猛吹雪のなかにウルトラアイを落としてしまいます。
また、第37話「盗まれたウルトラ・アイ」でも、またもや若い女性に化けたマゼラン星人マヤにウルトラアイを奪われてしまいました。このように、ダンはすっかり若い女性に弱いことが露呈してしまったのです。
さらに、ウルトラヒーローとしてあるまじき大失態をしでかしたのは、第46話「ダン対セブンの決闘」でのことでした。ロボットのニセ・ウルトラセブンを作った「サロメ星人」の罠にはまったダンは、敵の催眠術にかかってセブンのウルトラビームの秘密を明かしてしまいます。
そして、セブンに変身できないようにサロメ星人がウルトラアイを奪おうとしますが、なんとダンは車のなかにウルトラアイを忘れてしまっていたのです。
サロメ星人による「ニセ・ウルトラセブン」が完成し、地上で暴れまわっていた頃、ダンは拘束されて身動きが取れない状態でした。ダンはズボンのポケットに入っていたライターで拘束具を焼き切って脱出し、ポケットのカプセル怪獣「アギラ」を呼び出してニセ・ウルトラセブンに対抗させます。その間に、車のウルトラアイを取りに行くのでした。
「なぜウルトラアイを忘れるのに、カプセル怪獣は持っているのか」とツッコミたいところですが、ウルトラアイを忘れたことで結果的に盗まれずに済み、無事セブンに変身してニセ・ウルトラセブンとサロメ星人を倒すことができたのです。
『セブン』以降の昭和ウルトラマンは1971年『帰ってきたウルトラマン』のように変身アイテムがなかったり、リングやバッジのように肌身離さず持つようになったりと、変身アイテムが奪われるシチュエーションはなくなってしまいました。
(LUIS FIELD)