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『勇者アベル伝説』「打ち切りエンド」しか観ていないファン 第2部で描かれた結末とは

アニメ『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』のファンに、強烈な印象を与えたのが「第1部」の最終回です。打ち切りになってしまったとはいえ、思わずツッコみたくなる衝撃の結末とは。

「第2部」ではなく「第1部」の印象が強いのはなぜ?

「復刻版TVアニメ・サウンドトラック『ドラゴンクエスト-組曲ドラゴン伝説-』」(イーエス・エンターテインメント)
「復刻版TVアニメ・サウンドトラック『ドラゴンクエスト-組曲ドラゴン伝説-』」(イーエス・エンターテインメント)

 マグミクスは、1989年放送のTVアニメ『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』(※放送時は『ドラゴンクエスト』とのみ表記、以下『アベル伝説』)に関する考察記事「『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』EDしか覚えていない理由 OPってなんだっけ?」を配信しました。EDしか覚えていない人が多い理由として、「第1部全32話と第2部全11話のうち、第1部にはOPテーマ(歌)がまったくなかった」ことを取り上げました。

 読者から寄せられたコメントでは、第1部26話まで使用された徳永英明さんが歌うEDテーマ「夢を信じて」に関する思い出も見られ、「イントロからしていい」、「名曲中の名曲」、「今も歌詞をすべて覚えてる」などの声が寄せられました。

 そんななか、ファンたちの心に強く残っている思い出として、「最終回」に関する声も多く見られました。それも、第2部ではなく第1部の最終回です。なぜ「第1部」の最終回が思い出深いのでしょうか。

●魔王は倒したが、勇者たちも生還できなかった衝撃の打ち切りエンド!

『アベル伝説』は、大人気RPG「ドラゴンクエスト」シリーズを原作とするTVアニメ作品です。「モンスターたちは宝石から作られているため、倒すと元の宝石に戻る」など、「敵をたくさん倒すとお金を稼げる」ゲームならではの設定に独自の説得力を持たせる工夫も見られ、細部まで練り込まれた作品でした。

 アリアハンの村に住んでいた少年「アベル」が、大魔王「バラモス」にさらわれた幼なじみの少女「ティアラ」を助けるために旅立ち、仲間との冒険を経て立派な勇者として成長していく王道の冒険ストーリーが描かれます。

「中世ヨーロッパ風」というには民族色が強いアベルやティアラのファッション、配下が離反するという魔王軍の内部分裂の様子、魔王軍の侵攻や支配で心が荒んでいく人々の姿など、ゲームの『ドラクエ』ではなかなか描かれない独自の描写も魅力のひとつでしたが、期待していたほどの反響が得られなかったのか、32話で打ち切られることになってしまいました。

 伝説の竜をよみがえらせるために必要な聖剣があるという、空に浮かぶ「青き珠の神殿」へ行くための不死鳥「ラーミア」復活も目の前で、いよいよバラモスとの決戦の時が迫る……と話が盛り上がってきたところで、場面は平和な一軒家の風景に様変わりします。そこにいるのはひとりの老婆と、幼い少年少女でした。

 老婆は、おとぎ話のように「大勇者となったアベルが大魔王バラモスを討って世界に平和を取り戻した」ことや、「モコモコ、デイジィ、ヤナックら旅の仲間たちは生きて帰れなかった」ことを彼らに語って聞かせます。

 やがて、子供たちが話を聞き終える前に寝静まったのを見て部屋を出ようとする彼女の脳裏を、アベルとの思い出がよぎります。おそらく老婆は年老いたティアラで、この時点ではアベルすらもこの世にいないであろうことがうかがえます。見方によってはエモいということもできそうですが、絵に描いたような打ち切りエンドでもありました。

【画像】え、『アベル伝説』にヒロイン論争があった!? こちらが2人の美少女キャラです(5枚)

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