ゲームの「攻略本」が衰退したワケ いまは「ファンブック」的な本が増えている?
現在では「ゲームの攻略本」はあまり勢いがありませんが、かつては攻略本がベストセラーになるという驚くべき事態がありました。
攻略本が必須だった昔と今の違い
今でも書店に行くとゲームの攻略本を目にしますが、昔ほどの勢いはありません。なにせレトロゲームの攻略本はベストセラーになるほどだったのですから。
1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本』(徳間書店)は非常に売れ、当時の書籍ランキングのトップをとっています。ほかにもゲームの攻略本が売上トップにランクインすることがしばしあったほど、昔は攻略本の需要自体が大きかったのです。
前述のように今でもゲームの攻略本はありますが、さすがにそこまで勢いはなく、大作ゲームで発売される程度です。また、攻略本ではないもののファンブックならば発売されるケースもあります。
かつてはベストセラーだった攻略本はなぜ変わってしまったのか。
大きな要因として、まずは「レトロゲームには攻略情報が必要だった」ことが挙げられます。
昔のゲームは容量が少なく、それをいかに長く遊ばせるかが重要でした。数千円払って購入したゲームソフトをすぐにプレイし終えてしまっては、物足りなさが残るものです。しかし、たとえばアクションゲームでは大量のステージを入れることは現実的ではない。となると、難しくする必要があります。
もともとアーケードゲームの文脈(なるべくコインをたくさん入れてもらう)もあり、レトロゲームのアクションゲームは難しいものでした。『スーパーマリオブラザーズ』も今遊んでみるとかなり難しく、『トランスフォーマー コンボイの謎』にいたっては、初見プレイ時にはゲーム開始直後に殺されるような内容になっています。
もちろん、レトロゲームが難しいのはゲーム開発のノウハウが少なかったというのもあります。たとえば開発陣がテストプレイを繰り返すうちに慣れてしまい高難易度化に気づかないなど、調整もまだ洗練されていなかったといえるでしょう。やはり、基本的には「何度も挑戦してようやくクリアできる」ような作りになっていました。
なかには普通にプレイしてはクリア不可能なゲームもありました。『たけしの挑戦状』はあまりにも理不尽でしたし、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の謎解きも攻略方法を知っていなければエンディングを迎えるのは容易ではなかったでしょう。
こうなると、自然とゲーム雑誌や攻略本の情報が必要になってくるわけです。いわばゲームの参考書のようなもので、ゲーム自体がブームになったのもあり、それに伴って売れていました。