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もう邦画の域じゃない? 実写『キングダム』で特に度肝を抜かれたアクションは

信と羌カイが見せた最強のコンビネーション!

清野菜名さん演じる羌カイのキャラクタービジュアル (C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会
清野菜名さん演じる羌カイのキャラクタービジュアル (C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会

●『キングダム 運命の炎』信&羌カイvs趙軍

 シリーズ第3作『キングダム 運命の炎』では、信と羌カイの強力なタッグ戦がクライマックスの馬陽の戦いにて展開されました。これまでにもふたりの厚い信頼関係を感じさせる共闘シーンは描かれてきましたが、その信頼関係がいよいよ頂点に達した瞬間と呼べるのではないでしょうか。

『運命の炎』では中華統一に懸ける秦国王「エイ政(演:吉沢亮)」の思いを知った王騎が秦軍総大将に復帰し、趙荘軍を迎え撃つ馬陽の戦いの指揮を執ります。趙の大将代理の軍師「趙荘(演:山本耕史)」軍の本陣を左翼から突き崩しに向かった信率いる飛信隊ですが、敵兵の数があまりにも多く、知将「馮忌」の元にたどり着くことができません。

 それでも信をはじめ飛信隊は誰ひとり諦めることなく、王騎の命令を信じてなんとか活路を見出そうとします。信と羌カイは敵兵を斬り崩すなかで気付けばツーマンセルのようなポジションになっており、時には背中合わせで戦況を判断する場面もありました。

 やがて信は突破口を見出し、羌カイに手を差し向けます。信の手を握った羌カイが勢い任せに敵兵のなかに飛び込み、まるで演舞のような華麗なステップと太刀捌きで一気に敵兵を薙ぎ払う場面は、まさに爽快のひと言です。

 そして今度は羌カイが信のために道を作り、駆け出し飛翔した信が戦況を一気に変えることになります。特殊な剣技を描いたシーンではありませんが、地に足ついた泥くさいアクションだからこその魅力がたっぷり詰まった場面でした。

●『キングダム』信vs朱凶

「キングダム」シリーズのアクションを振り返る上で、実はシリーズ第1作で描かれた信vs刺客一族「朱凶」戦は非常に重要な一戦です。まず「キングダム」シリーズで命を懸けた初めての本格対人アクションであり、本シリーズのアクションがどれだけハイレベルなものになるのか観客に提示したといっても過言ではありません。

 また、信にとって無二の親友「漂(演:吉沢亮)」がエイ政の身代わりとなって命を落としたことを知る重要な場面であり、その漂に致命傷を負わせた相手こそ朱凶でもあります。信が爆発させる「怒り」としてはおそらくシリーズ中もっとも大きく、怒りに任せて無我夢中で朱凶に挑む姿は一見すると無謀と受け止められるはずです。

 そもそも当時の信は漂と剣術に励んでいたくらいのレベルで、現在のようにいくつもの修羅場を経験していたわけではありません。そのため実戦感覚がないままがむしゃらな戦闘となり、現在のしなやかな信の動きと明らかに異なっていました。その点に注目すると、『キングダム2 遥かなる大地へ』序盤の刺客ふたりとの対戦シーンで信に若干の余裕が見られ、剣術、体術ともに洗練化していることが分かります。

 対する朱凶の武術はまさに百戦錬磨の体さばきで、まるで本格カンフーのような動きが特徴です。とはいえ、荒々しく立ち向かってくる信をいなしつつ圧倒するアクションは、どの武術の型とも異なっているようにも見えます。ワイヤーアクションを駆使した動作設計は、さすがアクション俳優ドニー・イェン氏のもとで研鑽を積んだ下村アクション監督のなせる技、といったところでしょう。

 ちなみに、本作において漂に対する信の思いがあふれる場面という意味では、クライマックスの元将軍「左慈(演:坂口拓)」戦も見逃せません。左慈が語る「夢を見ることの無力さ」は、信だけでなく漂の思いも踏みにじることを意味します。左慈の圧倒的な剣術、剣速の前に苦戦を強いられていた信が己の剣を握りしめ、漂も認めていた「誰よりも高く跳ぶ」力をもって反撃する姿は感動を覚えるほど劇的なシーンとなりました。

 壮大なスケールや深みのある人間関係、複雑に交錯する思惑など、映画「キングダム」シリーズには数え切れないほどの魅力があります。邦画史上トップクラスのアクションにも、ぜひ注目してみてください。

(葦見川和哉)

【画像】え…っ? 「長澤まさみさすが」「実写のホウ煖こわッ」 こちらが再現度もアクションもスゴすぎた『キングダム』キャラたちです(12枚)

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