もう邦画の域じゃない? 実写『キングダム』で特に度肝を抜かれたアクションは
2024年7月12日(金)より公開された映画『キングダム 大将軍の帰還』が、大ヒットを記録しています。実写「キングダム」シリーズはさまざまな魅力を備えており、ド迫力のアクションシーンも見どころのひとつではないでしょうか。『キングダム』実写版4作のなかで、特にすごかったアクションシーンを振り返ります。
映画『キングダム』シリーズ最終章にふさわしい怒涛のアクション!

2024年7月12日(金)から公開された、最新作『キングダム 大将軍の帰還』が大ヒットを記録している実写映画「キングダム」シリーズは、邦画アクション史を塗り替える圧巻のバトルシーンも魅力のひとつです。佐藤信介監督と下村勇二アクション監督のゴールデンコンビが生み出してきた本シリーズのアクションシーンから、選りすぐりの4つの場面を振り返ります。
●『キングダム 大将軍の帰還』王騎vsホウ煖
最新作『キングダム 大将軍の帰還』では、なんといっても秦国総大将「王騎(演:大沢たかお)」vs趙国総大将「ホウ煖(演:吉川晃司)」戦を外すことはできません。本作、ひいては『キングダム』という作品を象徴する対決であると同時に、ふたりの因縁が交錯する戦いでもあります。
王騎にとってホウ煖は過去に大切な存在「摎(演:新木優子)」を奪った憎き相手であり、王騎に深手を負わされたホウ煖もまた、自身が唯一無二の「武神」であることを証明するために王騎を討ち取る必要があります。
王騎を演じる大沢たかおさんは、シリーズごとに増量して王騎役に挑んだことでも注目を集めました。太くたくましい二の腕は、重量級の矛を片手で難なく振るう姿に説得力を持たせています。一方の吉川晃司さん演じるホウ煖は、王騎と正反対でどんな場面でも不敵な笑みすら見せません。吉川さんも役のために15kgの増量を行ったほか、矛を振るう練習のために山籠もりまでしたそうで、まさに重厚感のある演技と威厳をもって、王騎と対峙しました。
『キングダム』のアクションシーンは、時としてリアリティラインとファンタジーの境界まで達することがあります。ふたりの矛同士がぶつかり合った瞬間に柄が「ぐにゃり」と曲がるカットは、視覚効果の力も借りて原作からうまく実写に落とし込まれていました。
秦、趙両国の総大将が激突するクライマックスバトルは、一騎打ちでありながら「キングダム」シリーズ史上最大の、そして邦画史上屈指の「力対力」を描いたシーンでもあります。また、壮絶な剣技のぶつかり合いの果てに訪れる静寂は、映画ならではの効果といえるでしょう。
●『キングダム 大将軍の帰還』羌カイvsホウ煖
『キングダム 大将軍の帰還』では、序盤で描かれた「羌カイ(演:清野菜名)」vsホウ煖戦のアクションも見逃せません。本作冒頭は前作『キングダム 運命の炎』終盤から続いていて、「馬陽の戦い」で敵将「馮忌(演:片岡愛之助)」を討った「飛信隊」の野営地がホウ煖の襲撃に遭い、いきなり窮地に追い込まれてしまいます。
山崎賢人さん演じる主人公「信」でもまったく歯が立たない状況のなか、暗殺一族の剣士としての実力を発揮したのが、飛信隊になくてはならない存在となった羌カイです。従来の剣技では太刀打ちできないと悟った羌カイは「トーンタンタン」と独特のリズムを取り始め、俊足と常人離れした剣速を兼ね備えた「巫舞」をもってホウ煖に挑みました。
これまでにも羌カイの巫舞は描かれていますが、圧倒的な強さ故に複数人の相手を瞬時に制圧する姿が強調されていました。しかし、今回は得体の知れない強さを秘め、自ら「武神」を名乗る男が相手です。長年鍛錬を積んだホウ煖が一枚上手をいき、巫舞をもってしても敵いません。
とはいえ、たっぷり時間をかけて描かれる羌カイvsホウ煖戦は、序盤にして邦画史上最高レベルのアクションシーンともいえます。羌カイが軽やかにホウ煖の矛の柄を駆け上がっていく動作も、相手が矛使いならではのアクション設計といえるでしょう。
羌カイを演じる清野菜名さんが極限まで肉体を駆使し、スタントダブルを務めた坂口茉琴さんやアクションチームが一丸となって生み出したハイスピードな一戦は、香港アクションやハリウッド作品の高揚感をも超える迫力をスクリーンに刻みつけました。