約30年前の少女が震え上がった「トラウマ」作品3選 お皿の上にバラバラの人間が?
衝撃のラストに冷や汗が止まらない!
「恐怖の館」に収録されていた『三途の川』という物語も、なかなかショッキングなラストを迎えます。同作は「不気田くん」シリーズや『不思議のたたりちゃん』を手掛けたホラー作家、犬木加奈子先生の作品で、自ら命を絶ってしまった少女を巡る物語です。
生きていても楽しくないと死んだばかりの少女が、天国を目指して「三途の川」を渡ろうとしました。しかし次第に川の流れが激しくなっていき、どんどん下流へと流されてしまいます。
同作における「三途の川」は、生前の身体が脱皮するかのごとく脱げていく川で、最後は赤ん坊の姿まで戻らなければなりません。それを恐ろしく思った少女は、慌てて岸へと引き返すと、身体の皮が脱げかけた状態で「この世」に戻されてしまいます。
ラストに描かれた女の子はあまりにもショッキングな姿です。当然ながら当時の子供たちにトラウマを植え付けたようで、ネット上には「『なかよし』に載っていて良いレベルじゃない怖さだった」「大人になった今でも覚えてる」「皮の描写がもう、ね……」といった声が相次いでいました。
衝撃的なラストといえばもうひとつ、同じく「恐怖の館」に収録された『家族の食卓』もかなり印象的な結末でした。『とんでもナイト』や『ヒロインをめざせ!』といったコメディ調の作品を手掛ける小坂理絵先生が、まったく異なるテイストのマンガを描いたということで、当時の読者に大きな衝撃を与えたといわれています。
ある日、学校で「かぞくのしょくたく」をテーマにした絵の課題を出された「千佐」は、ひとり浮かない顔を浮かべていました。どうも彼女の母親が作る料理が美味しくないというのです。
そこで「私が料理を教えてあげる」と声をかけたのが、お節介焼きなクラスメートの「るり」でした。なかば強引に千佐の自宅を訪れると、ちょうど母親が夕食の支度をするタイミングに出くわします。しかし台所をのぞくなり、千佐は「なにこれ……!?」と動揺し、それっきり姿を消してしまうのでした。
翌日、教室では千佐が嬉々として課題に取り組んでいます。描かれていたのは、異形の姿をした両親と自分、そしてバラバラになった人間を盛りつけたお皿でした。そして最後は、「るりちゃんのおかげではじめてママのお料理成功したの」「るりちゃんってホントにいい子だね 先生」というセリフで締めくくられています。
るりは台所で何を見て、その後どうなったのか、そして千佐の両親はいったい……。あえて直接的な描写を避け、読者の想像力に委ねた結末は、『にんじん大好き』や『三途の川』とは、また違った恐怖が感じられるでしょう。
いずれの作品も、少女マンガ雑誌の付録とは思えない本格的なホラーに仕上がっています。もし閲覧する機会があるときは、くれぐれもご注意ください。
(ハララ書房)