「どうしてこうなる」「タイトルおかしい」 意外すぎた『ウルトラマン80』の最終回
1980年に大きな期待を集めてスタートした『ウルトラマン80』ですが、内容が二転三転しながら最終回を迎えます。あの不思議なタイトルがついた最終回ができた、本当の理由とは何だったのでしょうか。
二転三転する設定のなかで迎えた最終回
放送45周年を迎える2025年に初めてのBlu-ray BOXが発売されるなど、『ウルトラマン80』が再び盛り上がりを見せています。
1980年4月から1981年3月まで放送された『ウルトラマン80』は、『ウルトラマンレオ』以来、5年ぶりとなる待望のウルトラシリーズの新作でした。主人公の「矢的猛」が中学校の教師をしながら防衛隊の隊員を務める「ウルトラマン先生」という新機軸が取り入れられ、大きな話題を集めました。
しかし、途中で設定が二転三転し、教師という設定も舞台になっていた中学校も登場しなくなってしまいます。物語はシリアスなSFドラマ、子供との交流をメインとしたドラマ、女性型ウルトラマン「ユリアン」とのドラマと変遷していき、視聴率も低迷するなかで、ついに最終回を迎えました。
●えっ、ウルトラマンが最終回なのに戦わない?
その最終回のタイトルは、「あっ! キリンも象も氷になった!!」という風変わりなものでした。これまでのウルトラシリーズの最終回のタイトル「さらばウルトラマン」「史上最大の侵略」「ウルトラ5つの誓い」などと比べると、明らかにテイストが違います。そもそも、一見しただけでは最終回だと分かりません。
ストーリーも異色のもので、なんと「ウルトラマン80」が一度も戦わずに終わってしまうのです。
九州の南原市に謎の大寒波が襲来し、街がすべて凍りついてしまいます。動物園のキリンも象も、氷になってしまいました(早くもタイトル回収)。原因は怪獣「マーゴドン」です。マーゴドンは暖かい星のエネルギーを吸い取って凍らせてしまう能力を持っており、このままでは地球も滅んでしまうことが分かります。
防衛隊「UGM」の攻撃も、マーゴドンには通用しませんでした。ウルトラマン80に頼るような口ぶりの隊員たちを、「オオヤマキャップ」は一喝します。
「バカモン! ウルトラマン80はもう現れない! 80の助けはいらない! 断固として80の力を借りないで怪獣をやっつける!」
UGMはマーゴドンを鉄球で打ち砕く「ジャイアントボール作戦」を実行に移しますが、あえなく失敗してしまいます。矢的猛と「星涼子」は80とユリアンに変身しようとしますが、オオヤマが矢的を呼び止めて声をかけました。
「これまでウルトラマン80には、ずいぶん助けられた。これまでのお礼を言うよ、ウルトラマン80」
オオヤマキャップは、矢的の正体がウルトラマン80だと気付いていたのです。オオヤマはこれまでの戦いで傷付いた80を案じ、「地球はやっぱり、地球人の手で守らねばならん」とUGMの力だけでマーゴドンを倒すことを誓います。そして、オオヤマの指揮のもと、再びジャイアントボール作戦が決行され、見事マーゴドンを打ち砕きました。
オオヤマは隊員たちの前で矢的の正体がウルトラマン80だと明かし、矢的と涼子を送る「お別れパーティー」を開きます。「これで我々は胸を張って、80とユリアンにさよならが言える」とオオヤマが語ると、矢的は「さよならは終わりではなく、新しい思い出の始まりって言います。じゃあ、みんな、元気で!」とさわやかに別れを告げました。矢的と涼子は地球最後の1日を存分に楽しみ、80とユリアンに変身して地球を去っていきます。
これまでにもウルトラシリーズの最終回では、人類の手で怪獣を倒したことがありました。『ウルトラマン』では「科学特捜隊」が新兵器「ペンシル爆弾」で「ゼットン」を倒しましたし、『ウルトラマンタロウ』では人間に戻った「東光太郎」が「バルキー星人」を倒します。
とはいえ、いずれもウルトラマン、ウルトラマンタロウが登場して戦った後のことです。主人公が一度も変身して戦わない『ウルトラマン80』の最終回は、明らかに異色だったと言えるでしょう。