描写もだけど話がやべーよ… 面白いけど人選びまくる「R指定」実写化映画
エロやグロシーンのあるマンガが原作の実写化作品には、その刺激の強さからR指定の年齢制限がつけられることもあります。これまで、どのような過激な描写が描かれてきたのでしょうか。
残酷極まりない人体破壊描写がトラウマに……
残酷なストーリーや生々しいラブシーンを描いた青年マンガが実写化されると、刺激の強い映像表現が含まれることも多々あります。これまで過激な人間ドラマやホラーを撮ってきた監督が手掛け、R指定となった作品もありました。
●『神さまの言うとおり』
幅広いジャンルを手掛け、特に『オーディション』や『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』などの過激ホラーで知られる三池崇史監督は、2014年にデスゲームが題材の『神さまの言うとおり』(原作:金城宗幸/作画:藤村緋二)を映画化しました。教師の頭部から出現した「ダルマ」が始めた不条理なデスゲームに対し、主人公「高畑瞬(演:福士蒼汰)」が、仲間とともに命を賭けて課題に挑戦していきます。
動くと首が飛ぶ「ダルマさんが転んだ」や、巨大な招き猫とのバスケットボールなど、不条理なゲームが続き、クリアできなかった生徒たちは頭を叩きつけられたり、股を裂かれたりなど、残酷な方法で命を奪われてしまいます。
赤いビー玉での表現を加えた血しぶきの演出や、人体破壊が続く展開に、ネット上でも「視覚的にかなりショッキング」「一時期こけしに怯えるようになった」など、トラウマを植え付けられた視聴者も多かったようです。
●『ビリーバーズ』
長年ピンク映画でキャリアを積んできた城定秀夫監督は、2022年に自身の監督生活で唯一自分から企画を出したという『ビリーバーズ』(著:山本直樹)の実写化映画を制作しました。
本作は宗教団体「ニコニコ人生センター」に所属する男女3人が孤島で禁欲生活を送るなか、次第に本能と欲望が暴かれていく物語です。登場人物は互いに「オペレーター(演:磯村勇斗)」、「副議長(演:北村優衣)」、「議長(演:宇野祥平)」と呼び合い、見た夢の報告や瞑想、テレパシーの実験など、浮世離れした生活を送っていました。
慎ましく生きていた3人はある事件がきっかけで、抑えていた欲望や本能が浮き彫りになっていきます。教義を利用して副議長と肉体関係になろうとした議長がたどる痛々しい顛末や、オペレーターと副議長の濃厚なラブシーンは「メイン3人の体当たり演技に並々ならぬ覚悟を感じる」「R15だけどR18の間違いでは?」といわれるほど、話題になりました。
また、「信仰心に抗えない人間らしさ」「堕落する信者が恐ろしい」と評価され、極限状態の人間の本質を描いた作品として支持されています。
●『愛しのアイリーン』
田舎町が舞台の生々しい人間ドラマを描いた『愛しのアイリーン』(原作:新井英樹)は、2018年に公開され、過激な描写とスリリングな展開が話題となりました。本作を監督したのは、後半からホラーのようになるラブコメ『さんかく』や、古谷実先生の同題マンガを実写化したスリラー『ヒメアノ~ル』などが高く評価された吉田恵介さんです。
長年女性と縁がない生活を送ってきた40代の「宍戸岩男(演:安田顕)」と、彼にお金で買われて結婚したフィリピン人「アイリーン(演:ナッツ・シトイ)」は、喧嘩を重ねながらも愛を育みます。しかし、アイリーンを受け入れられない「ツル(演:木野花)」と組んだヤクザ「塩崎裕次郎(演:伊勢谷友介)」が彼女を拉致しようとして、岩男が塩崎を殺害してしまったことで、ふたりの関係は徐々に変化していきます。
生々しい描写の数々、中盤からの怒涛の展開と、切ないラストが描かれた本作は、鬱屈した感情を爆発させる岩男を演じた安田さんや、アイリーンを虐げるツルを演じた木野さんの怪演にも注目が集まりました。キャストの名演も相まって、人種差別や閉鎖的な田舎の文化、それぞれの歪んだ愛情がリアルに表現されています。
(LUIS FIELD)