「これでもちゃんと配慮してます」 過激要素だけじゃない「R指定」実写化映画
性的表現が多い青年マンガを原作にした実写映画のなかには、「R指定」に分類される作品が多々あります。そういった作品は過激な部分に対する感想が多くを占めるかと思いきや、「芸術性が高い」「美しい」といった評価が多くなった作品もありました。
ギリギリR15で通した?
マンガを原作にした実写映画のなかには、過激な表現が含まれ年齢制限や閲覧推奨の年齢が設けられることがあります。なかには、入り口としては露出のある激しいラブシーンの話題が先行したものの、ストーリー性や映像の芸術性が高く評価された作品もありました。
マンガ界の巨匠、手塚治虫先生が手がけた『ばるぼら』の実写版映画は、過激な描写があるものの、「不思議といやらしさを感じない」といった声が多い作品です。
R15+指定に分類される同作は人気小説家「美倉洋介(演:稲垣吾郎)」と、謎の少女「ばるぼら(演:二階堂ふみ)」の奇妙な共同生活を描いた物語です。映画倫理機構が「刺激の強い性愛描写がみられる」と評価しているとおり、作中では異常性欲の美倉がマネキンや犬、そして、ばるぼらとの情事に及ぶシーンも描かれます。
また、特に美倉とばるぼらの水中でのキスシーンは、「美しすぎる映像」「一枚絵にしても完璧」といった声があがっています。
ほかには、水城せとな先生のマンガ『窮鼠はチーズの夢を見る』の実写映画も、R指定に分類されました。原作は過激な描写が多いBL作品で、主人公「恭一」を演じる大倉忠義さんと、7年ぶりに再会した大学の後輩「今ヶ瀬渉」役の成田凌さんの演技にも注目です。
渉から不倫の証拠を隠す代わりに身体の関係を持つことを持ちかけられた、既婚者の恭一は、渉のペースに流されて一緒に暮らすことになります。ずるずると関係を続けるふたりのキスやベッドで抱き合うシーンもしっかり描かれ、「覚悟を感じる衝撃演技」「生々しいはずなのに神秘的でどうやって撮ったか気になる」など、ふたりの熱演や演出に衝撃を受け高く評価する声が数多く出ていました。
また、女性向けマンガといえば、湊よりこさんが手がけた『セフレの品格(プライド)』を実写化映画した「初恋」と「決意」の2部作も外せません。
「初恋」ではシングルマザーの「抄子(演:行平あい佳)」が、高校の同級生で初恋の相手である産婦人科医「一樹(演:青柳翔)」にセフレにならないかと提案されるところから始まる物語で、特に作中で描かれる濃厚なベッドシーンが話題になりました。
ただ、長年ピンク映画の現場で活躍してきた監督の城定秀夫さんは、過激になり過ぎないようにしっかり気を配っていたそうです。経験を活かし、「それ以上足を開いたらR-18になる」といったように、撮影で迅速で的確な指示を出していたことが舞台挨拶で明かされています。
また、後編にあたる「決意」では、未成年の親から虐待を受けていた家出少女「咲」役で高石あかりさんが登場します。一樹に惹かれる咲は抄子に嫉妬し、抄子と一樹との関係に大きな亀裂を生じさせる存在になりました。「高石さんの堕胎した子供の死体見せられて泣く演技がすご過ぎる……」「割と忠実にストーリーを再現しているし、上質な恋愛劇に仕上がっている」「後編は大人のラブストーリーとしても少女の成長譚としてもいい」俳優陣の演技や物語にも高い評価が集まっています。
※高石あかりさんの「高」は「梯子高」
(LUIS FIELD)