『ガンダム』ザクの肩のトゲは意味あるの? 世代が進んでもずーっとあり続けるワケ
脈々と継承される肩のトゲトゲ
●トゲを受け継ぐMSたち
「MSのトゲ」というと、「グフ」にもいかついトゲが両肩についていました。『機動戦士Zガンダム』の時代になると、ジオン公国の技術を得た連邦軍が「ハイザック」を量産化し、これにトゲとシールドが継承されます。さらに、アナハイムエレクトロニクスがザクをベース(資料によっては「ドム」とも)に開発し、ティターンズに供与した「マラサイ」も肩トゲもちでした。
『機動戦士ガンダムZZ』では、ザクの最終型として開発されたネオ・ジオン軍の「ザクIII」が登場します。その名を戴く後継機とあって、肩のトゲ、肉厚になった装甲は堂々としたものです。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、シャアが再興したネオ・ジオン軍の主力MS「ギラ・ドーガ」が肩にトゲとシールドを装備し、いわば「ジオン軍の魂」が受け継がれています。
そのギラ・ドーガに代わるネオ・ジオンの次期主力機として開発されたのが『機動戦士ガンダムUC』の「ギラ・ズール」で、専用機や親衛隊機の肩にトゲを確認できます。
さらにギラ・ドーガは、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する、トゲ持ちである「メッサー」のベースにもなっています。
そして時代はぐっと進み、『機動戦士ガンダムF91』に登場した「クロスボーン・バンガード」の「デナン・ゾン」は、両肩にトゲを装備しています。このMSは近接戦闘、白兵戦に配慮された設計で、いかにもトゲが活用されそうですが、装備した武器「ショットランサー」の汎用性が高すぎて、トゲタックルはなかったように思います。
その後も『機動戦士Vガンダム』に登場したザンスカール帝国の「ゾリディア」がトゲ持ちであり、一年戦争から数えて約74年ものあいだ、MSにトゲはあり続けたわけです。
しかし、ラムアタックをするわけでもないトゲにはこれといった戦果がないと考えられ、これは意匠であり威嚇のためにあるのでは、と思わされます。
●トゲの存在価値は?
ビーム兵器が当たり前となったグリプス戦役以降、ただの意匠といってもいいトゲは、それ以前の兵器が未発達の頃でも使われなかったのに廃止されず、その後もあり続けました。そこには、どんな意味があったのでしょうか。
年代は少し戻りますが、たとえば『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に、ジオン公国残党が操縦する「ザメル」というMSがあり、長距離支援用にもかかわらずトゲがあります。
また『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場した、ジオン公国軍のモビルアーマー「アプサラスII」と「同III」にもトゲが生えています。
これら機体は近接武器をほぼもっておらず、肉迫されたら一巻の終わり、タックルどころではありません。
では、なぜトゲなのでしょうか?
思い返してみると、ザビ家三男「ドズル・ザビ」の軍服の肩にはトゲが見られました。また、キシリアや「ガルマ・ザビ」、シャアのヘルメットにも鋭利なトゲ(ツノ)が。そして、ジオン公国首都「ズム・シティ」の公王庁舎も、やけにトゲトゲしい奇抜なデザインです。
これは「ジオンの魂」「ジオンの象徴」がトゲであるという意味であり、シャアが再興したネオ・ジオンのギラ・ドーガにトゲがあることも証左になるのではないでしょうか。まぁ、「サザビー」にトゲはありませんが……。
(南城与右衛門)