トラウマになったアニメ映画といえば? 「情緒おかしくなる併映」も衝撃
「アニメは子供が観るもの」とされていたのは遠い昔の話で、今は大人も楽しめる作品が数多く存在します。そのなかにはグロテスクな描写や鬱展開が含まれているものもあり、「アニメだから……」と油断していると、トンデモないトラウマを植えつけられてしまう劇場版作品もありました。
『ワンピ』キッズたちにトラウマを刻んだ問題作
今や大人も子供も楽しむ一大コンテンツとなったアニメは、ときにショッキングな作品が作られることもあり、グロテスクな描写や鬱展開などで多くの人にトラウマを与えてきました。特に過激なアニメを映画館のスクリーンで観たときの衝撃たるや、今も忘れられない人は多いのではないでしょうか。
ぱっと見では恐ろしい雰囲気を一切感じさせなかったこともあり、多くの人に予想外の衝撃を与えたのが『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』でした。
同作では、まるでパラダイスのような「オマツリ島」を舞台に、「モンキー・D・ルフィ」たち麦わらの一味が「オマツリ男爵」からの挑戦を受け、さまざまなゲームにチャレンジしていくことになります。あらすじやタイトル、ポスタービジュアルなどは底抜けに明るく、一見トラウマとは程遠い作品に感じられるでしょう。
しかし物語中盤から、作品の雰囲気は一気にホラーじみたものに変わります。オマツリ男爵の豹変、「麦わらの一味」の仲間割れ、そしてどこからともなく漂ってくる不穏な空気と死の匂いなど、本格ホラー映画さながらの恐怖演出で、ルフィたちの楽しい冒険目当てに観にきた人びとを震え上がらせました。特にオマツリ男爵を操っていた黒幕が真の姿を披露するシーンは、多くの人のトラウマになったのではないでしょうか。
また、『カードキャプターさくら』や『XXXHOLiC』などで知られるCLAMP原作の『X-エックス-劇場版』も、多くの人に衝撃を与えたアニメ映画として知られています。ストーリーは、地球の命運を左右するほどの超能力を持つ少年少女たちが、人間を守ろうとする「天の龍」と地球を自然な姿に戻そうとする「地の龍」のふたつの陣営に分かれて戦うというもので、社会派なメッセージを含んだ超能力バトル作品です。
劇場版では、人の死が非常に淡々と描かれており、戦いに敗れた超能力者はあっけなく死に、そしてまた次の戦いが繰り広げられていきます。それだけに過酷な展開や人体破損描写も多く含まれているほか、物語の結末も救いがありません。実際に映画を鑑賞した人からは「観終わった後に恐ろしい虚脱感に苛まれた」という声も出てきます。
しかも1996年の公開当時、同作はファンタジーコメディー『スレイヤーズRETURN』と同時上映されていました。どちらかといえば『スレイヤーズRETURN』を目当てに観に行った観客がその温度差に衝撃を受けたことも、『X-エックス-』がトラウマ映画といわれる要因になっているようです。
さらにもう少し昔の作品では、1987年に公開された『妖獣都市』もなかなかにショッキングな作品でした。人間界と魔界の共存を守るために戦う主人公「滝蓮三郎」の活躍を描いた物語で、原作は『吸血鬼ハンターD』『魔界都市<新宿>』などで知られる菊地秀行先生の人気小説シリーズです。
エログロ満載の大人向けのホラー小説の世界観を、アニメ界の鬼才と称される川尻善昭監督の手腕によって、見事に映像へ落とし込んでいます。
何よりプロフェッショナルとして任務を全うする主人公の姿がリアルかつハードボイルドに描かれており、この雰囲気に惹かれた少年少女も多かったのではないでしょうか。「蜘蛛女」の場面を筆頭に恐ろしい場面も多いだけに、観る人を選ぶ作品であることは間違いありませんが、アニメ好きなら観て損はないはずです。
(ハララ書房)