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ロボットアニメの「死なない」男たち 死亡フラグを悠々とへし折る彼らの共通点は?

いまやすっかり市民権を得た「死亡フラグ」、そのお約束的展開の渦中にありながら、まるで「運命」という言葉や概念を鼻で笑うかのように悠々と生き延びる「死亡フラグクラッシャー」を見ていきます。

主人公でも死ぬような状況を生き延びる男たち

異能生存体、ここにも。「機動戦士ガンダム00 パトリック・コーラサワーアイテム アクリルスタンド」(バンダイ) (C)創通・サンライズ
異能生存体、ここにも。「機動戦士ガンダム00 パトリック・コーラサワーアイテム アクリルスタンド」(バンダイ) (C)創通・サンライズ

「俺、無事に故郷に帰ったら、彼女にプロポーズしようと思うんだ」

 フィクションでこのようなセリフを言おうものなら、そのキャラクターは大概、死んでしまいます。

 この種の発言は「死亡フラグ」と称され、キャラクターが死亡するシチュエーションを盛り上げるためのものです。ゆえに、死から逃れることのできるキャラクターは多くありませんが、時折、その死亡フラグをへし折り、悠々と生き延びてしまうキャラクターも存在します。そうしたキャラクターを概して「死亡フラグクラッシャー」と呼称します。

 アニメキャラでその代表格といえば、やはりこの人、『機動戦士ガンダム00』に登場する「パトリック・コーラサワー」でしょう。

 コーラサワーは、主人公サイドと敵対する陣営のパイロットです。操縦技量は高いのですが、主人公サイドの繰り出す「ガンダム」タイプのモビルスーツと何度も交戦し、その都度、敗北してきました。そのように何度、負けようともなぜか生還することから、周囲からは皮肉を込めて「不死身のコーラサワー」と呼ばれ、そして本人はそれを誉め言葉だと思っている、ちょっとおめでたい人物として描かれています。

 TVアニメの続編である劇場版『機動戦士ガンダム00 -A Wakening of the Trailblazer-』では地球外生命体「ELS」と交戦し、最後は自爆攻撃を試みました。ところが、主人公の「刹那・F・セイエイ」が放った攻撃に乗機を撃ち抜かれ、偶然めくれあがった装甲版とシートに挟まれて爆発から守られる形となり、どっこい生きていたという超展開で生還しています。

●死亡フラグアイテム「パインサラダ」

『超時空要塞マクロス』の「ロイ・フォッカー」は、恋人の作る「パインサラダ」を待っているあいだに、直前の出撃で負った銃創により死亡、『マクロス7』の「金竜」もパインサラダが好物という設定でやはり戦死してしまい、「マクロス」シリーズでは長らく「パインサラダ」が死亡フラグでした。

『マクロスF』に登場する「オズマ・リー」も、幼かった頃の妹「ランカ・リー」に作った「パインケーキ」を回想するシーンの後に出撃します。

 そもそもオズマは、前述のフォッカーの乗機とよく似た塗装のヴァリアブル・ファイターに搭乗し、フォッカーが指揮していた部隊と同名の「スカル小隊」の指揮官です。そこへ「パインケーキ」、ファンは「オズマ、お前もか……」と思ったことでしょうが、負傷しつつも生還しました。フラグを見事、折ったと見られる一方、サラダだったらわからなかったという見方もあるでしょう。

●リアルにもいた死亡フラグクラッシャー

 現実世界における死亡フラグクラッシャーの代表格といえば、第二次世界大戦時に活躍したフィンランド空軍の戦闘機パイロット、ニルス・カタヤイネンでしょう。

 なにしろこのカタヤイネン、初飛行訓練の時から乗機が損傷しています。その後も乗機がひっくり返るほどの事故に見舞われたのを皮切りに、機体がバラバラになるほどの大事故に何度も見舞われ、同僚から「ついてないカタヤイネン」という、コーラサワーのようなあだ名をつけられています。

 一方でカタヤイネンは、戦争中に35.5機の敵機を撃墜した大エースでもあります。

 前述したコーラサワーやオズマ・リーも、劇中では腕利きとして描かれていました。やはり死亡フラグクラッシャーと呼ばれるには、ただ生還するだけでなく、相応の戦果を挙げられる人物でなければならないのかもしれません。

(竹内修)

【水着のランカが足もとで】こちら見れば見るほど死亡フラグにしか見えない『マクロスF』オズマ・リーの搭乗機です(6枚)

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