マグミクス | manga * anime * game

オマージュが多い『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 物語の根幹を支えたハリウッドの名作とは?

公開から40年経った今でも多くの人に愛される名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に元ネタとなる映画があったのをご存じですか?

“悪夢のような1985年”には元ネタがあった

2015年に発売された『ケトル』VOL.24(太田出版)
2015年に発売された『ケトル』VOL.24(太田出版)

 タイムトラベルをテーマにしたSFアドベンチャー映画の傑作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは、1985年の高校生「マーティ・マクフライ」が科学者「ドク」こと「エメット・ブラウン博士」の発明したタイムマシンで過去や未来にタイムスリップし、自身や家族を守るために奮闘する物語です。

 第1作が1985年、第2作が1989年、シリーズ完結編の第3作が1990年に公開され、いずれも大ヒットを記録しました。

 実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』には元ネタとなった映画があります。1946年に公開された『素晴らしき哉、人生!』という作品です。アメリカ映画協会が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位、同協会の「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクインしており、ハリウッドを代表する不朽の名作といえるでしょう。

※以下、作品のストーリーに触れる部分があります。

 誠実な主人公「ジョージ・ベイリー」は、金儲けしか頭にない権力者「ヘンリー・ポッター」の策略に屈することなく、家族や街の人びとのために働いてきましたが、あるトラブルによって自殺寸前に追い込まれます。そこへやってきた二級天使「クラレンス」の救いによってジョージは自分の価値に気付き、人生の素晴らしさをあらためて実感するという物語です。

 クリスマス映画の定番であるとともに、善行と良心が報われるというアメリカ人にとって大切な価値観を描いているため、多くの人に愛される名画となりました。

『素晴らしき哉、人生!』でジョージを救おうとした二級天使クラレンスは、「ジョージが存在しなかった世界」を見せます。そこに登場するのが、権力者ポッターが支配する街「ポッターズ・ビル」です。けばけばしいネオンが光る一方、人びとの心は荒廃し、ジョージの愛する妻は独身のままわびしい暮らしをしていました。

『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』には、悪党「ビフ」によって支配された悪夢のような1985年が登場しますが、これは「ポッターズ・ビル」を参考にしたものだとロバート・ゼメキス監督や脚本のボブ・ゲイル氏がインタビューで証言しています。荒廃した街のイメージを参考にしただけではなく、「もし世界や人びとの運命が変わったらどうなるか?」というコンセプト自体が似通っています。

 何よりも両作品は、「人生の価値は自分が思う以上に大きい」「困難に負けずに前向きに生きる」「家族や友人との絆を大切にする」「善行や良心が報われる」といった数々のメッセージが共通しています。これらは両作品が長い年月にわたって多くの人に愛される理由でもあります。

 さまざまな映画にオマージュを捧げた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズですが、その根幹にあるとも言える元ネタが『素晴らしき哉、人生!』なのです。

(大山くまお)

【画像】え、こんなに多いの? こちらが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の元ネタになった映画です(5枚)

画像ギャラリー