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大人になって見え方変わったジブリキャラ 「いい奴だったかも」「健気すぎて」

長い歴史を持つスタジオジブリは数々の名作を世に送り出しており、それぞれの作品には個性的なキャラクターが登場します。大人になってから改めて彼らを見ると、大きく異なる印象を受けることもあり、子供時代には気付かなかった新たな一面が見えてきます。

敵だけど悪ではない魅力的なキャラ

画像は『もののけ姫』のエボシ御前 (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
画像は『もののけ姫』のエボシ御前 (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

 長い歴史を持つスタジオジブリの数々の名作には個性的なキャラクターが登場し、作品の魅力を深めています。そのなかには、大人になってから改めてみると、子供の頃とはまったく違う印象を受けるキャラもいました。

 代表格として、『もののけ姫』に登場する「エボシ御前」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。エボシ御前は「タタラ場」を率いるリーダーで、自然を破壊する人間たちの代表のように描かれています。主人公「アシタカ」に呪いを放った「ナゴの守」が、エボシ御前に撃たれたことで「タタリ神」になるなど、多くの犠牲を生んだ人物です。

 その一方で、エボシ御前は売られてきた娘たちを引き取り、病人たちを手厚く看護し、彼らに仕事をさせ、自立の道を与えていました。作中のポジションとしては「悪役」ですが、弱い立場の人びとを守り、生きていく術を与えるという優れたリーダーとしての力量があります。彼女の複雑なキャラクター性に大人になってから気付き、好きになったという人も多いようです。

 ほかにも、太平洋戦争末期を描いた『火垂るの墓』に印象的なキャラクターが登場します。それは、母を亡くした兄妹の清太と節子を預かることになる親戚の「おばさん」です。戦時中はどこの家庭も貧困に苦しんでいたため、おばさんにはふたりに優しく接する余裕がありませんでした。やがて清太と節子はおばさんに反発し、最終的に親戚の家を出ていくことになります。

 しかし子供だけで生きていくことは難しく、清太と節子は、終戦後まもなく亡くなってしまうのです。あまりにも悲しい結末も相まって、子供の頃には「おばさんはひどい」「おばさんは冷たい」と思った人も多かったのではないでしょうか。

 ただ、時代背景などを理解した大人になって改めて作品を観てみると、「実は清太の方がワガママだったのではないか」と思う人も多いようです。「どっちが悪いとかじゃないけどやりきれない」「大人になるとおばさんの気持ちが分かるけど、子を持つと清太の気持ちも分かって辛い」「大人になって観ると、あの時代で生きる上で正しいこととは何かって考えさせられるようになった」など、葛藤の声がありました。

 その『火垂るの墓』と同時上映されたのが、『となりのトトロ』です。「サツキ」と「メイ」の姉妹が、森で「トトロ」という不思議な生き物に出会う本作には、姉妹がトトロと空を飛ぶシーンや、「ネコバス」に乗るところなど、見ていてわくわくする場面が数多く登場します。

 ところが、子供の頃に胸をときめかせていた『トトロ』を再度観ると、お母さんが病気のために入院し、慣れない環境のなか健気に頑張るサツキとメイの姿に心を打たれ、「序盤から涙なしには観られない」といった感想が多く見られます。

「金曜ロードーショー」で本作が放送されると、よく「子供を産んでから観る『トトロ』に涙腺崩壊」「サツキとメイをみて、『ウチの子みたい』って思うお母さん、たくさんいるよね、きっと」など、親としての立場でサツキとメイを見るようになったという声出てきます。

 そのほか、『おもひでぽろぽろ』『紅の豚』など、大人になってからの方が作品の味わいが分かるといわれるジブリ作品は多々あります。年を重ねるたびに違った角度から物ごとを見られるのも、ジブリ作品の魅力のひとつかもしれません。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ?「こんな豪華女優が」「同じ敵キャラでも全然違う」 こちらが「エボシ御前」のキャストが演じたジブリの別キャラです

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