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「ガンダムMk-II」みたいに敵から奪った兵器が大いに戦果を挙げるのって現実的なの?

「連邦カラーのザク」などはゲームならではの要素、かと思いきや、考えてみれば「ガンダムMk-II」はモロにろ獲兵器でした。そのようなろ獲兵器が主力を担うほど活用されるというのは、現実的にありうるお話なのでしょうか。

敵兵器が大いに活用される際のもっともな「条件」とは?

「HG 1/144 ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様)」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
「HG 1/144 ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様)」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 アニメ『機動戦士Zガンダム』に登場する「ガンダムMk-II」は、物語前半の、俗にいう主人公機になります。ところが本機は、主人公「カミーユ・ビダン」が属するエゥーゴが開発したものではなく、エゥーゴの敵である地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」によって開発されたモビルスーツです。

「Mk-II」という名前が物語るように、本機はアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公機をはじめとする「RX-78 ガンダム」の後継機として開発されました。開発の主査は、カミーユの父親「フランクリン・ビダン」です。

 ガンダムMk-IIはティターンズによって運用される予定であったことから、初登場時には濃紺を基調とするティターンズカラーで塗装されています。実戦配備を前にスペースコロニー「グリーンノア2」でテストされていたところを、事故に乗じ2号機、3号機がエゥーゴに強奪されました。

 このように、戦地などで敵対者の装備する兵器を奪うことを「ろ獲」といい、ガンダムMk-IIはいわゆる「ろ獲兵器」です。

 その後、奪われた機体を取り戻すためにカミーユの母親を人質にしたティターンズのやり口に嫌気がさした「エマ・シーン」が造反しエゥーゴへ加入した際に、3機すべてがエゥーゴの手に渡っています。

『機動戦士Zガンダム』の中盤以降に登場するモビルスーツは、主人公機で変形機構を備えた「Zガンダム」をはじめ、能力がインフレ化していきました。このためガンダムMk-IIは相対的に高性能機ではなくなっていたのですが、基本設計が優れていたため扱いやすく、また汎用性も高かったことから、最新鋭機とも互角に渡り合い、作中で描かれた「グリプス戦役」の最後までエゥーゴの主力機として運用されています。

 同機は続編の『機動戦士ガンダムZZ』にも登場しました。作中でおもにこれを乗機とした「エル・ビアンノ」は、マニュアルを見ながら操縦していたにも関わらず、初陣で変形機構を持つ高性能モビルスーツ「ガザD」を中破させます。その後も同機を駆って「第一次ネオジオン紛争」を戦い抜きました。

 このような「ろ獲兵器の活用」は、現実世界の戦争でも数多く行なわれています。

 たとえば、旧日本陸軍はビルマ(現在のミャンマー)の戦いで、イギリス軍がアメリカから供与されて運用していたカーティスP-40E「ウォーホーク」戦闘機をろ獲し、短期間ではありますが国産戦闘機の不足を補うため、P-40Eを運用する臨時戦隊を編成して防空の任に充てていました。

 P-40Eはあまり戦果を挙げられなかったようですが、フィリピン戦線でアメリカ軍からろ獲したM3「スチュアート」軽戦車は、コレヒドール要塞攻略戦などに投入されました。その後、送られたビルマ戦線ではM3のみを運用する戦車隊を編成し、同隊のM3はイギリス軍が運用していた格上のM3「リー」中戦車を撃破する大殊勲を立てています。

 P-40戦闘機やM3軽戦車は超一流の兵器と評価されているわけではありませんが、扱いやすさから、開発国やその同盟国だけでなく、ろ獲された敵国でも重宝されました。このあたりは元々、軍人パイロットでなかったカミーユやエルでも、最初から相応の戦果を挙げることができた、ガンダムMk-IIと共通しているといえるでしょう。

(竹内修)

【画像】えっ、アムロ仕様のMk-II…!? ほかこちら「ガンダムMk-II」のバリエーション機です(5枚)

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