思いのこもった料理が人をつなぐ! 大切な人に思いを伝えるグルメマンガ3選
心があたたかくなる、思いを伝えるグルメマンガ3選です。「食」を通して描かれる人の思いや絆は、きっと心の栄養になってくれるはず!
食を通して深まる「絆」にほっこり アニメ化もされた2作品の思い出ごはん
外出自粛が続き、家族が家にいる時間が大幅に増えている今、家族団らんを楽しめる反面、改めて「家族の絆」が試されています。ずっと顔を合わせていると、些細なことが気になりけんかになってしまうことも多いのではないでしょうか。
そんなときは、心が温かくなるグルメマンガで心をリフレッシュさせてみませんか? 「食」を通して描かれる人の思いや絆は、きっと心の栄養になってくれるはずです。
●娘に手料理を食べさせたい…! 自炊のきっかけになった「土鍋ごはん」
ひとつめは、『甘々と稲妻』(雨隠ギド/講談社)から。父子家庭の父親として働きながら子供を育てる主人公・犬塚公平が、娘・つむぎに手作り料理を食べさせるため奮闘する物語です。
公平とつむぎは、ある日泣きながらお弁当を食べていた女子高生・飯田小鳥と出会います。彼女の家は料理屋「ごはんやさん 恵」を営んでおり、公平とつむぎはご飯を食べに「恵」へ。しかしその日は店主である母親が留守。それでもおいしいご飯を食べさせたい!という一心で小鳥が一生懸命作ったのは、「土鍋ごはん」でした。
完成したのはただの白いご飯で、おかずもありません。それでもつむぎは「うまーい!」と大喜び。それを見た公平は「食」の大切さに気付き、「おいしいもの、これからは父さんが作るから」とつむぎと約束。それまでは外食やお弁当に頼っていましたが、ここから料理を頑張る日々が始まります。公平とつむぎ、小鳥が一緒に楽しく料理をし、食事をしている様子に、見ているこちらまで心が温まります。
●言葉がなくても伝わる。“夕焼けトンビ”とミコチの思い出の味「ミネストローネ」
ふたつめは、『ハクメイとミコチ』(樫木祐人/KADOKAWA)から。森のなかで二人暮らしをしている身長9㎝の女の子・ハクメイとミコチの物語です。ミコチはハクメイと暮らし始める前、白い鳥にカフーという名前をつけて飼っていました。そのカフーの好物が、ミコチが作る「ミネストローネ」。しかしカフーは、ある時から急に姿を見せなくなってしまいます。
10年後、真っ赤で大きい“夕焼けトンビ”と呼ばれる鳥が願いを叶えてくれると話題になっていて、その夕焼けトンビが目撃されたという情報が。好奇心旺盛なハクメイは「今からそいつを捕まえにいく」と言い出し、ふたりは目撃された場所まで向かうことに。向かった先で出会ったのは――なんと大きく成長したカフー!
カフーはミコチが持参していたミネストローネを飲み干し、ふたりを背中に乗せてミコチの家まで運びます。そして追加で鍋いっぱいのミネストローネを食べ、去っていきました。カフーとミコチは言葉を交わすことはありませんが、ミコチの「また気まぐれにミネストローネを食べにくるでしょ」という言葉から、ミネストローネでつながる絆の深さが感じられます。
いつまでも同じじゃない。今の自分を見てほしい…そんな思いに応えたごはん
●チキンライスが好きだったのはいつ? 反抗期の息子と母親をつないだ「ピタパン」
最後は、『あさめしまえ』(北駒生/講談社)から。主人公は、子供の頃に食堂「アサメシマエ」の朝ごはんに救われた日高元。大人になり、閉店が決まっていた「アサメシマエ」を継いだ日高は、食堂を訪れる人たちの心を「料理」を通して救っていきます。そのなかのひとつとして登場するのが、「ピタパン」。
アサメシマエの仕入れ先である青果店「百菜店」の息子・菜央は、反抗期真っ只中。母親がお弁当や夜食を作っても「……イラネっつってんじゃん」と食べてくれません。しかし実は、菜央には菜央の言い分が。友達は家族のために苦労しているのに、自分の親はいつまでも過保護で、お弁当や食事も子供の頃から変わらない。もっと “今の自分”を見てほしいという気持ちが、彼の態度をより反抗的なものにしていたのです。
そこで日高は、母親に「ピタパン」を作ることを提案。「息子はチキンライスが好き」という思い込みを捨てて一歩踏み出すよううながします。結果、ピタパンは大好評。今まで朝ごはんはご飯しか食べなかった父親までも変えていきます。ピタパンが、百菜店の一家に新しい風を吹かせてくれたのです。
ほかにも挙げればキリがないですが、あたたかい時間が流れるこの3作品は、読めば心が洗われること間違いなし! 心がギスギスしてきたなと感じた時は、これらの作品を読んで「思いを込めた料理」を作ってみてはいかがでしょうか? 何かが変わるきっかけになるかもしれません。
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