えっ「R指定」で公開されてたのに地上波に? 映画・ドラマ両方作られた人気マンガ
人気マンガは、実写版の映画やドラマとなってさまざまな媒体で映像化されています。なかには、映画とドラマの両方で実写化され、そのたびにキャストが一新された作品もありました。
媒体で結末も異なった実写作品

これまでに、数多くの人気マンガが実写化されてきました。なかには、映画化とドラマ化の両方が実現し、それぞれキャストを一新して公開や放送がされた作品もあります。上映時間に限りのある映画とは違い、ドラマではしっかり原作の後半まで映像化され、かなり印象が変わる作品もありました。
●『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
鬱窟とした日々を送る営業マンが、仕事や恋愛、ボクシングを通して成長していく人気マンガ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(作:花沢健吾)は、2010年に実写映画化、2012年にドラマ化されました。主人公「田西敏行」役は、映画版では銀杏BOYZの峯田和伸さん、ドラマ版ではSUPER EIGHTの丸山隆平さんが演じています。
映画版はR15+指定で、過激なシーンが多数登場しました。原作ファンのなかには、そういったシーンが抑えられたドラマ版に物足りなさを感じた人もいたようです。しかし、両作品とも田西のダメな人間性と成長物語が原作通りに表現されており、その点は好評を得ました。
また、映画版はライバル会社の営業マン「青山貴博(演:松田龍平)」との決闘までが主な物語で、田西の同僚「植村ちはる(演:黒川芽以)」がヒロインとして描かれましたが、ドラマ版では決闘後の青山に訪れる意外な展開や、原作途中からのヒロイン「大巌花(演:平愛梨)」との恋模様も描かれ、より原作に即した内容となっています。
●『ツレがうつになりまして。』
細川貂々先生のコミックエッセイが原作の『ツレがうつになりまして。』は、2009年にNHKにてドラマ化、2011年に実写映画化されました。ドラマ版では藤原紀香さんとネプチューンの原田泰造さん、映画版では宮崎あおいさんと堺雅人さんが夫婦を演じています。
本作は、「うつ病」と診断された夫が、漫画家の妻とともに闘病する物語です。うつ病の発症過程をリアルに描いて夫婦がどのように向き合っていくかを示し、ドラマ版と映画版のどちらも高く評価されました。
長年俳優業もしている原田さんは、普段芸人としてバラエティ番組で見せる明るいイメージが強かったためか、徐々に無気力になり元気を失っていく姿がかえってリアルに感じた人も多かったようです。
映画版の堺さんも、物語序盤でゴミ袋を見つめながら「これ、みんないらないんだよね」と思い詰めたように呟く場面があり、これから訪れるショッキングな出来事を予兆するような演出になっています。このシーンをきっかけに、作品の世界に一気に引き込まれたという感想も多く見られました。
●『僕だけがいない街』
人気マンガ『僕だけがいない街』(作:三部けい)は、2016年に藤原竜也さん主演で実写映画化、2017年には古川雄輝さん主演でNetflixにてドラマ化されました。
本作は何度もタイムリープを繰り返す「再上映(リバイバル)」という特殊能力で主人公「藤沼悟」が、18年前の連続誘拐殺人事件解決に奮闘する姿を描いた作品です。映画版は、原作が当時完結していなかったこともあってオリジナルの結末が描かれ、その悲しい展開は賛否が分かれました。一方、原作完結後に映像化されたドラマ版は忠実なラストが描かれ、その再現度の高さが評価されています。
また、2016年に放送されたアニメ版も、原作未完の段階で制作され、オリジナルの結末が描かれました。映画、アニメ、ドラマとそれぞれ異なる解釈の展開で、いずれのメディアミックス作品も違う楽しみ方ができます。
(LUIS FIELD)