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原作改変も上手くいった名作アニメ 「作者直々の提案」「始まり方自由すぎ」

数あるマンガ原作のアニメのなかには、原作の改変によって賛否が巻き起こった例も少なくありません。一方で大胆な改変が加えられながらも、原作ファンからも好評を得た作品もありました

「そういう意図ね」原作者の心残りをアニメで表現

 完結編でも重要な役割を果たしたアニ・レオンハート。TVアニメ『進撃の巨人The Final Season完結編(前編)』キャラクタービジュアル (C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
完結編でも重要な役割を果たしたアニ・レオンハート。TVアニメ『進撃の巨人The Final Season完結編(前編)』キャラクタービジュアル (C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 人気のマンガや小説がアニメ化されると、原作改変の問題がたびたび物議をかもします。しかし、なかには第1話から全く違う始まり方をしたり、キャラクターのイメージが変わるような描写の変更をしたりと、物語の根幹に影響を与えそうな部分を大胆に改変しながらも好評を得た作品もありました。

●『メイドインアビス』

 2017年より放送された TVアニメ『メイドインアビス』(原作:つくしあきひと)は、謎に満ちた秘境の大穴「アビス」をめぐり、偉大な探窟家を目指す少女「リコ」や少年型ロボット「レグ」の冒険の物語です。

 原作マンガは、過酷な旅のなかで子供の流血や探窟家が捕食されるシーンなど、ショッキングな描写も多々描かれており、アニメ化発表時は地上波放送できるのか懸念する声もあがっていました。

 しかし、放送開始後は、しっかり再現された容赦ない過激な描写や、細部まで描かれた作画、音響を駆使した演出など、圧倒的な世界観が絶賛されました。さらに、物語が進むと、原作にはないオリジナルの展開も盛り込まれ、視聴者の心を揺さぶる場面が増えていきます。

 なかでも、第2期『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第4話で描かれた「ナナチ」と親友「ミーティ」の再会シーンは、原作では簡潔な回想でしたが、アニメでは物語として丁寧に描写され、ナナチの心理描写をより深く表現しています。全体的に「良い改変だった」と高評価が多い作品です。

●『進撃の巨人』

 人類と巨人の壮絶な戦いを描いたTVアニメ『進撃の巨人』(原作:諫山創)では、2013年放送の第1期第23話のとあるシーンが注目されました。それは、主人公「エレン・イェーガー」の同期「アニ・レオンハート」が、「女型の巨人」である疑いをかけられ、エレンや「ミカサ・アッカーマン」「アルミン・アルレルト」に問い詰められる場面です。

 原作ではアニが薄笑いを浮かべるだけだったのに対し、アニメでは彼女が恍惚の表情で狂ったように高笑いする演出が加えられました。

 この改変を思いついたのは原作者の諫山先生で、自身のブログにて、単行本が出た後に心残りがあり、変更を提案したことを明かしています。敵国のスパイだったアニをただの悪役ではなく「普通の人間」として描きたかったとのことで、「悲しみ」「照れ」「開放感」「罪悪感」「孤独」「恐れ」が入り混じった表情のラフ画を制作側に送ったそうです。

 改変されたアニの表情は、「原作の何とも言えない不気味な表情も良かったけど、これはこれであり」「アニが一気に色っぽくなった」と話題になり、諫山先生自身もこの演出を絶賛しています。

●『銀魂』

 空知英秋先生のマンガが原作で、2006年から放送されたTVアニメ『銀魂』は、宇宙人「天人(あまんと)」に支配された江戸を舞台に、「万事屋」を営む主人公「坂田銀時」や、その仲間たちの生き様を描いたSF人情コメディー時代劇です。

 アニメ版は第1話からオリジナル展開でスタートし、銀時と万事屋のメンバー「志村新八」「神楽」たち主要キャラがすでに知り合っている状態で物語が進行しており、「後編」にあたる第2話まで『銀魂』らしいドタバタ劇が繰り広げられました。

 銀時と新八の出会いが描かれる第1話のエピソードは、第3話に変更されるという異例の構成でしたが、「なんでもアリ」な『銀魂』の魅力が詰まった展開は原作ファンからも好評だったようです。

 その後も、キャラ同士のからみや、某有名作品のパロディなど、原作にはないオリジナルのエピソードが多数描かれ、長く愛されるヒット作となりました。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ? 「改めて見ると顔同じ」「普通に美人だしスタイルいい」 こちらが「女型の巨人」化した『進撃』アニです

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