実は打ち切り寸前だった? 今じゃ「大人気」なマンガの意外な過去3選
マンガの世界では、人気や売り上げが低迷すると打ち切られることがあります。しかし、なかには打ち切りの危機を乗り越え、メディア化を果たした作品も少なくありません。
打ち切り危機から大逆転でメディア化

マンガの世界では、さまざまな事情でやむなく打ち切られることも少なくありません。しかしなかには、一度は打ち切りの危機に直面しながらも持ち直し、今ではアニメ、ゲームなど幅広いメディアとして人気を博すまでに成長した作品も存在します。
例えば、『呪術廻戦』(作:芥見下々)は「週刊少年ジャンプ」(集英社)での連載開始当初に、打ち切りの危機があった作品のひとつです。人間に害をなす呪いの化身「呪霊」が存在する世界で、対抗できる人間「呪術師」を育てる機関「呪術高等専門学校」に通う主人公「虎杖悠仁」が呪霊をめぐる事件と対じします。
バラエティ番組『漫道コバヤシ』に出演した芥見先生によれば、連載が開始した当初の評判は低調だったため、序盤の山場として用意していた「呪胎戴天」を前倒しする対策を取ったそうです。
少年院を舞台にした呪霊の事件に虎杖と同級生の「伏黒恵」「釘崎野薔薇」が派遣され、あらかじめ「うち1名死亡」と主要キャラの退場が予告されたことでも注目を浴びました。
そして、序盤ながら主人公であるはずの虎杖が命を落とすという衝撃的な展開で読者に強いインパクトを与えます。そこから作品の人気が伸びていき、2024年まで約6年もの連載が続きました。
また、アニメは前日譚の映画『劇場版 呪術廻戦 0』やTVアニメシリーズが2期まで放送、3期となる「死滅回游」編の制作も決定しています。
続いて、2026年1月からTVアニメ放送が予定されている『ダーウィン事変』(作:うめざわしゅん)も、第2巻の刊行直後は「打ち切り一直線の売り上げ」だったそうです。同作は「月刊アフタヌーン」(講談社)にて2020年から連載中で、人間とチンパンジーのハーフ「ヒューマンジー」である主人公「チャーリー」がさまざまな出会いを通して自分と向き合っていきます。
人間と似ていながら別物であるチャーリーと、人間の女性「ルーシー」を主軸に語られる物語で、人種差別やテロなど社会の抱える問題について考えさせられる内容です。
最初こそ知名度が低かったものの、第1巻の刊行直後にTV番組『川島・山内のマンガ沼』で取り上げられるなど、メディアを通して知られるうちに多くの読者に作品の面白さが伝わります。その結果、打ち切りを免れたようで、「マンガ大賞2022」大賞を受賞するほど世間でも評価される作品となりました。
そして、マンガアプリ「コミックDAYS」(小学館)で連載されている『ひとりでしにたい』(作:カレー沢薫)も連載開始当初に打ち切りの危機を迎えていました。この作品は主人公「山口鳴海」が伯母の孤独死をきっかけに自分の人生を整理する「終活」を始める物語です。
折が悪く第1巻が発売されるタイミングでコロナ渦が広がり、単行本の売り上げも苦戦を強いられたため、第2巻で打ち切られる話も出ていたようです。それでも諦めなかったカレー沢先生自身によるX(旧:Twitter)での呼びかけや、読者の口コミで徐々に作品の売り上げも上がり、最終的に打ち切り危機から復活を遂げたようです。
始まりこそ恵まれなかった作品ですが、2024年には「第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」で優秀賞を受賞するなど評価されています。また、2025年6月には綾瀬はるかさんの主演でドラマ版が放送される予定です。
(LUIS FIELD)