「紹介欄見たら衝撃」「もう10年以上?」 主人公の影が薄くなったマンガ
マンガのストーリー進行において欠かせないキャラといえば、もちろん主人公です。しかし、主人公にもかかわらず、「途中から登場しない」「一線から退く」といった展開が描かれた作品もあります。連載中の人気作では、いまもなお「主人公の復帰」を待ち望むファンも多いようです。
「主人公の定義って何だっけ…」となってしまう人気作たち

マンガの主人公は物語の中心となる重要なキャラですが、作品によっては前線から退くケースもあります。なかには主人公が何年も登場しない作品もあり、「次はいつ出てくるの?」と待ちわびている読者も多いようです。
「裏方」にまわった主人公の例では、森川ジョージ先生のボクシングマンガ『はじめの一歩』があげられるでしょう。同作は1989年から現在まで「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載されており、主人公「幕ノ内一歩」をはじめとする魅力的なキャラたちの熱い試合が繰り広げられます。
同作において衝撃的な展開だったのは、一歩の現役引退です。一歩は「アントニオ・ゲバラ」との試合に敗北してパンチドランカーの兆候を感じたことで、心配する母親のために一線から退きました。現在はトレーナーとして後輩の選手たちを献身的に支えているものの、やはり「戦っている一歩が見たい」との声は多く出ています。作中では現役復帰を匂わせる描写もあり、今後どう復活するのかに注目が集まっているようです。
また、「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて1998年から連載が始まり、休載などの理由でいまだに未完結の『HUNTER×HUNTER』(作:冨樫義博)は、長らく主人公が不在の状況が続いています。
本作の偉大なハンターを目指す主人公「ゴン=フリークス」は、外の世界「暗黒大陸」を目指す「暗黒大陸編」に突入してから長らく出番がありません。最後に登場したのは2014年掲載の345話で、ゴンは念願の対面を果たした父「ジン」に諭され、故郷である「くじら島」に帰省して勉学に励んでいました。
そして、暗黒大陸編が始まる単行本33巻以降、ゴンの紹介欄から「主人公」の表記が消えています。最大の目的だったジンとの対面を達成し、ゴンの物語はいったんの区切りがついたのかもしれません。
また、完結済みの作品でも、主人公の影が薄くなったギャグマンガがありました。それは2000年から2006年まで「週刊少年マガジン」にて連載された、『魁!!クロマティ高校』(作:野中英次)です。
同作は優等生の主人公「神山高志」が選りすぐりの不良たちがそろう「都立クロマティ高校」にひょんなことから入学してしまい、モヒカン頭の「林田慎二郎」や、まったく高校生に見えない風貌の「フレディ」、本物の動物と同じ見た目の「ゴリラ」、明らかにロボットな「メカ沢」など、クセが強すぎる仲間たちと、破天荒な学園生活を送る物語です。
連載開始当初の神山は主人公として登場回数が多かったものの、上述した強烈な個性を発揮するキャラの勢いに押されて出番が少なくなっていきます。まったく登場しない期間もあり、神山を説明する上では「一応、主人公」という表現が適切かもしれません。
ちなみに、同作の最終話は林田が夢のなかで編集者に「来週で連載打ち切りです」と告げられ、それを仲間に伝えたところで幕を閉じるという衝撃的なラストでした。
(LUIS FIELD)