『ドラクエ7R』なぜいま「大人キーファ」なのか? 変わる「ノスタルジー」のかたち
『ドラクエ7R』での「大人キーファ」の登場は、昨今のスクウェア・エニックスが仕掛ける原作介入型リメイクといえるでしょう。なぜ原作の根幹に、あえて手を加えるのでしょうか。
なぜリメイクで原作の展開に介入するのか?

2025年11月12日、X(旧:Twitter)では「キーファ」がトレンド入りしました。2026年2月5日発売予定である『ドラゴンクエストVII Reimagined』(スクウェア・エニックス)の最新映像が公開され、「大人キーファ」との共闘が明らかになったことを受けてのものです。
ご存じのように、2000年にPlayStation用ソフトとして発売されたオリジナル版『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』では、主要キャラクターのひとり「キーファ」が途中離脱し、最後まで復帰することはありません。この点は、のちのニンテンドー3DS版リメイクやスマホ版でも変わりませんでした。
今回の『ドラクエ7R』は、それらとは一線を画すリメイクといえそうです。本作プロデューサーの市川毅氏が海外ゲーム誌の取材に対し、プレイヤーの選択により新たな結末を迎えられると応じたことも伝えられています。同じスクウェア・エニックスが手掛けた『ファイナルファンタジーVII リバース』にも見られる、「原作介入型リメイク」といったところでしょうか。
ここでいう「原作介入型リメイク」とは、グラフィックやユーザーインターフェイスなどの向上のみならず、原作では変えられなかった「運命」や「結末」といった物語の根幹に手を加えることを意味します。
なぜ、原作に忠実なリメイクにとどめないのでしょうか。SNSなどを眺めると歓迎の声がある一方で「原作の破壊である」とする批判の声も聞かれます。そうした批判のリスクを冒してまで、オリジナルと異なる展開を描こうとするのはなぜなのでしょう。
SNS上などの投稿内容を改めて眺めてみると、反応しているのはほぼかつての『ドラクエ7』のプレイヤーと見受けられます。PlayStation版と3DS版の販売本数から単純に考えると、7割程度かそれ以上はPlayStation版のプレイヤーでしょう。
25年前のメインボリューム層と考えられる彼らは、おそらく当時10代から20代前半くらい、2025年現在は40歳前後から50歳前後くらいの世代と見られます。そして現日本国内で、年齢別で見た場合にもっとも人口の多い世代は、その50歳前後です(総務省統計局資料による)。
人口の多さは、単純に、市場の大きさに直結します。メインか否かはさておき、『FF7リバース』や『ドラクエ7R』のターゲット層のひとつが、その「かつてのプレイヤー」である40代から50代前半くらいの世代であると見るのは、そう間違ってはいないでしょう。
そうした層にまったく同じ物語を提供してもなかなか手を伸ばさないだろう、というのが、「原作介入型リメイク」のリスクを冒す、もっともシンプルに考えられる理由でしょうか。
もう少し踏み込むと、彼ら40代から50代前半くらいの世代、すなわち「就職氷河期世代」の、「ノスタルジー」に求めるものが変化しつつあるのかもしれません。






