主役ふたりがハマりすぎていた実写化作品 「変態の再現度高!」「知らない人だと思ってたら」
マンガが原作の実写化作品では、キャラクターの完成度が低いと賛否を招くことも少なくありません。一方で、主演のふたりが高い演技力でキャラを再現し、他の俳優ではもう考えられないと賞賛された作品もありました。
俳優の魅力が詰まった作品たち

人気マンガが原作の実写化作品では、キャラの再現度に関わるキャスティングが、成功の鍵を握るといっても過言ではありません。なかには、肝心な主演のふたりが「ハマり役」といわれ、成功を収めた作品もあります。
主演のふたりがみごとにハマった実写作品といえば、2006年にドラマ化され、2009年と2010年に実写映画が公開された『のだめカンタービレ』(原作:二ノ宮知子)は外せません。本作はクラシック音楽をテーマに、天才的なピアノの才能を持ちながらも落ちこぼれの音大生「野田恵(通称:のだめ)」と、世界的指揮者を目指す音大生「千秋真一」の成長と恋愛模様を描いた作品です。のだめ役は上野樹里さん、千秋役は玉木宏さんが演じました。
のだめは千秋に「変態」といわれるほどの変わり者で、一方の千秋は自分にも他人にも厳しい俺様キャラです。ふたりとも整った顔立ちをしていますが、原作ではときに白目を剥く変顔もしています。
上野さんと玉木さんは、そんな個性的なキャラを原作から出てきたのかと思うほど高い再現度で演じ、ファンからは「上野さんののだめは、マンガから飛び出してきたみたい。さらに単なる模倣に留まらず、のだめの純粋さ、音楽への情熱、葛藤を見事に表現していた」「指揮者として堂々と立ち振る舞いながらも、のだめに翻弄されてコミカルな表情をする千秋先輩のギャップが大好き」と、絶賛されました。
ふたりの演技は高く評価され、2007年には日本映画テレビプロデューサー協会が選定するエランドール賞の新人賞をそろって受賞しています。ほかにも、上野さんは第51回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞を獲得しました。
また、バイト先のファミレスの店長に思いを寄せる女子高生の恋模様を描いた2018年の映画『恋は雨上がりのように』(原作:眉月じゅん)も、主演ふたりの魅力が詰まった映画といわれています。店長の「近藤正己」は大泉洋さん、女子高生の「橘あきら」は小松菜奈さんが演じました。
本作は正己が45歳、あきらが高校2年生という設定のため、人によっては抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、大泉さんの独特の緩い雰囲気もあって、正己はあきらに迫られてもいやらしい雰囲気がなく、観客からは「大泉さんだからこそ安心して観られた」との声があがりました。
一方、小松さんもみずみずしく透明感のある演技が、甘酸っぱくも爽やかな作風に合っていると評判です。特に陸上のシーンでは、手足の長い抜群のスタイルも相まって、映像として非常に美しく仕上がっており、「芸術的」とまで称する声もありました。
男女ペア以外では、2006年実写映画が公開された『デスノート』(原作:大場つぐみ/作画:小畑健)も、主演ふたりがハマり役でした。本作は名前を書いた人間を殺害できるノートを拾い、犯罪者を消して理想の世界を作ろうとする「夜神月」と、世界一の名探偵「L」による頭脳戦を描いたサスペンスです。月役を藤原竜也さん、L役を松山ケンイチさんが演じています。
公開前は、当時まだ松山さんの知名度が高くなかったことや、藤原さんのビジュアルが原作の月とは異なる印象だったことから、原作ファンから不安の声もあがっていました。しかし公開されると、松山さんはビジュアルだけでなく独特の佇まいや仕草でLを高い完成度で再現し、藤原さんも狂気を帯びた演技や感情をむき出しにした絶叫シーンで観客を圧倒し、一転して高い評価を受けました。
松山さんにとって本作は大ブレイクのきっかけとなり、その後は憑依型のカメレオン俳優として、『デトロイト・メタル・シティ』や『銭ゲバ』など、多くの実写化作品に出演しています。
(LUIS FIELD)



