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アニメファン騒然、物議をかもした回3選 今なおネットに残る阿鼻叫喚の声

ネット上では日々、さまざまなアニメ談義が行われています。しかし、作品によっては「あの回はどういうことなんだ!」と熱い議論が巻き起こることも。時に「意外な展開」を超え、「話さずにはいられない!」と視聴者の間で物議をかもした回もあります。その内容や演出、時代背景などを踏まえ、今回は「物議をかもした回」を3つご紹介します。

ありなの? 悲喜こもごもの「物議回」

 放送中のアニメの仕上がりや最近見た作品の感想など、作品についてわいわい話すのは楽しいものです。しかし、その内容や展開から「話さずにはいられない!」と視聴者の間で物議をかもした作品もあります。今回はそのなかでも特徴的な「物議をかもした回」を、3作品から1話ずつご紹介します。SNSでも「SAN値が削れてくる」「思い出すと今も少しつらい」とさまざまな声が上がりました。

●『涼宮ハルヒの憂鬱(2009年版)』第12話~第19話「エンドレスエイト」I~VIII

「エンドレスエイト」の回を2話収録『涼宮ハルヒの憂鬱』DVD5.428571(第4巻)(角川エンタテインメント)
「エンドレスエイト」の回を2話収録『涼宮ハルヒの憂鬱』DVD5.428571(第4巻)(角川エンタテインメント)

『涼宮ハルヒの憂鬱(2009年版)』は、同名ライトノベル(著・谷川流)を原作としたアニメで、2006年に放送された第1期に新作14話を加えた、第2期にあたります。2020年11月25日(水)に、原作の9年半ぶりの新刊『涼宮ハルヒの直観』が発売された本作において、物議をかもしたのは第12話~第19話「エンドレスエイト」I~VIIIです。

 ごく普通の男子高校生・キョン(CV:杉田智和)は、非日常的な出来事を愛する破天荒なクラスメイト・涼宮ハルヒ(すずみや・はるひ/CV:平野綾)に連れられ、半ば強引にハルヒが団長の「SOS団」に入れられます。日々ハルヒに振り回されるキョンにも、夏休みには平穏が訪れる……かと思いきや、夏休み残り2週間となったある日、ハルヒからキョンに電話がかかってきます。「残り少ない高校1年生の夏休みを皆で楽しもう」と集まったSOS団ですが、遊びまわって夏休み最終日を終えたキョンには、何か違和感があって……?

「エンドレスエイト」は、ハルヒたちの過ごす夏休み最後の2週間を8話にわたって繰り返し描く、前代未聞の構成で放送されました。第12話「エンドレスエイトI」で過ごした夏休みを第13話「エンドレスエイトII」で繰り返していることに気づき、以降、夏休みを抜け出すために19話「エンドレスエイトVIII」まで同じ日々を繰り返します。毎回登場人物の服装やアングル、声の演技も微妙に変わっていますが、ほぼ同じ内容を8週にわたって見た当時の視聴者たちからは「もう見るのがつらい」「一万何千回も夏休みを繰り返した長門有希(ながと・ゆき/CV:茅原実里)の気持ちがわかる」とさまざまな意見が噴出。2018年にはエンドレスエイトについて批評した『エンドレスエイトの驚愕』(著:三浦俊彦/春秋社)という書籍が出版されたほど、物議をかもしました。この作品は、「dアニメストア」「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

●『カードキャプターさくら さくらカード編』第24話「さくらと本当の想い」

『カードキャプターさくら さくらカード編』画像はBlu-ray BOX(ジェネオン エンタテインメント)
『カードキャプターさくら さくらカード編』画像はBlu-ray BOX(ジェネオン エンタテインメント)

『カードキャプターさくら さくらカード編』は、2020年10月時点で累計発行部数1700万部を突破している人気マンガ『カードキャプターさくら』(著・CLAMP)を原作としたアニメで、第3期まで制作されているうちの第2期にあたります。物議をかもしたのは、最終回にあたる第24話「さくらと本当の想い」です。

 友枝町に住む小学生・木之本桜(きのもと・さくら/CV:丹下桜)は、魔法のカード「クロウ・カード」を集める「カードキャプター」です。散らばったクロウ・カードを全て集めた桜ですが、なぜか再び友枝町に不思議な出来事が起こり始めます。親友の大道寺知世(だいどうじ・ともよ/CV:岩男潤子)やクラスメイトの李小狼(り・しゃおらん/CV:くまいもとこ)とともに、不思議な出来事に立ち向かっていく桜。その謎も解けて一件落着かと思いきや、小狼が香港に帰ってしまうことに。小狼が黙って帰ろうとしていることを知世からの電話で知り、桜は空港へ駆け付けて――?

 大人気シリーズの最終回である第24話ですが、前番組の相撲中継が長引き、その分放送時間が後ろにずれました。その結果、番組をVHS録画していた視聴者はラスト4分が録画できず、桜が空港へ駆けつけたところまでで録画が終わってしまうという事態に。最終回の大事なシーンが録画されず、今でもSNSには「ラストを見られないとか悪夢」「絶対許さない」など、当時を思い出す悲壮な声が残っています。放送当時は2000年でまだ動画配信サービスは登場しておらず、VHS録画で自動タイムシフト機能もなかったため、相撲中継に出ていた力士になぞらえて「武蔵丸の悲劇」「スモウカード編」と名前が付くほど印象的な出来事でした。この作品は、「dアニメストア」「Netflix」「バンダイチャンネル」などで見ることができます。

●『みなみけ~おかわり~』第6話「冷めてもあったか、ウチゴハン」

『みなみけ~おかわり~』画像はBlu-ray BOX(キングレコード)
『みなみけ~おかわり~』画像はBlu-ray BOX(キングレコード)

『みなみけ~おかわり~』は、マンガ『みなみけ』(著・桜場コハル)を原作としたアニメで、第4期まで制作されているうちの第2期にあたります。日常系アニメであるはずの本シリーズで物議をかもしたのは、第6話「冷めてもあったか、ウチゴハン」です。

 南家三姉妹は、しっかり者で優しい長女・春香(CV:佐藤利奈)、ちょっとおバカで破天荒な次女・夏奈(CV:井上麻里奈)、クールでたまに毒舌な三女・千秋(CV:茅原実里)の3人組。平凡な日々を淡々と過ごしながら、いつものように仲良く暮らしていました。冬のある日、外は午後から大雪に。雪合戦や熱々のお風呂など雪の夜を楽しんでいた3人でしたが、突然停電になり室内も極寒に。最近隣に引っ越してきた冬木真澄(ふゆき・ますみ/CV:斉木美帆)がひとりで留守番していることを思い出し、心配になった3人は彼の様子を見に行きますが――?

 本作は第1期と制作会社が変わっており、主要スタッフのほとんどが入れ替わった体制で作られました。その結果、「晴れの日が少なく画面が暗い」「モブキャラクターの顔が黒く塗られている」など作画の雰囲気が暗くなったことや、「3姉妹があまり仲良くない」「オリジナルキャラクターの冬木の性格が暗い」など、キャラクター設定の変化にも注目が集まる状況に。第6話では冬木の暗い性格がピックアップされ、第2期への視聴者の不満が爆発。掲示板「2ちゃんねる」の「みなみけ」スレッドが驚異的な伸びを見せるほど、当時物議をかもしました。こうした反応を受けてか、第3期からは一部の制作スタッフが変更となり、第1期同様原作に沿った話が増えました。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

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 上記の他にも、キャベツの作画が黄緑色のボールのようで話題になった『夜明け前より瑠璃色な』など、定期的に現れる「物議をかもした回」。見たいアニメが見つからない時は、あえて見直してみるのも楽しいかもしれません。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

(新美友那)

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