ジャンプ人気投票の1位争い「主人公 vs 脇役」に法則はあるか? 近年の人気作品から考察
『ワンピース』ルフィが打ち立てた大記録
さて、数ある「ジャンプ」人気作品のなかでも、『ONE PIECE』の人気投票結果は際立っています。主人公のモンキー・D・ルフィが初回から1位をキープし続けているのです。結果は下記の通り。
・1回目 1位
・2回目 1位
・3回目 1位
・4回目 1位
・5回目 1位
・6回目 1位
・世界人気投票(連載1,000話を記念したオンライン投票) 1位
ちなみに、ルフィ以外に人気投票1位を守り続けた主人公はどのような例があるのでしょうか? 連載が終了したジャンプ作品で主だったところを挙げると、『ダイの大冒険』のダイ、『魔人探偵脳噛ネウロ』の脳噛ネウロ、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の緋村剣心、『ぬらりひょんの孫』の奴良リクオは公式人気投票で最後まで1位を守り続けました。彼らの記録は3連覇です。
『BLEACH』の黒崎一護も3連覇したものの、4回目は3位(1位:日番谷冬獅郎 2位:朽木ルキア)。ルフィの7連覇はジャンプ史上でも稀有、というか異常ともいえる成績です。
ルフィに肉薄したのが『銀魂』の坂田銀時で、第1回から最終回記念総選挙まで6連覇。残念ながら作品が完結してしまったためルフィに並ぶ可能性はなくなりましたが、ジャンプ史上最も人気のあるキャラクターのひとりといえるでしょう。
●主人公はだんだん順位が落ちてくる場合が多い
さて、ここからは連載中の作品や過去の作品の人気投票結果を調べて、見えてきた共通点について注目します。最初にあげておきたいのは、「主人公は最初は一番人気でも、だんだん下がってくる」というパターンです。
今もTVアニメなどの企画が盛り上がる『鬼滅の刃』は、1回目の人気投票では竈門炭治郎が1位でしたが、その後は順位が低下し、最終的には4位(1位:我妻善逸 2位:冨岡義勇 3位:時透無一郎)でした。
『呪術廻戦』の悠仁も、1回目は1位でしたが2回目は3位に。『僕のヒーローアカデミア』の出久は1回目1位で、以降は2位、3位が定位置になっています。
また、最初から脇役が1位のケースもあります。2021年に第1部が終了し、アニメ化も発表されている『チェンソーマン』の主人公デンジは、1回目5位(1位:パワー 2位:マキマ 3位:早川アキ 4位:レゼ)、2回目4位(1位:早川アキ 2位:マキマ 3位:パワー)でした。現役の連載作品でも『夜桜さんちの大作戦』の主人公・朝野太陽は人気投票1回目で3位(1位:夜桜四怨 2位:夜桜嫌五)でした。今後も連載が続いたら、デンジと同じようなパターンになるかもしれません、
ジャンプの人気投票は1~2年程度の周期で実施されています。あくまで推測ですが、連載開始1、2年ぐらいだと主人公の出番が圧倒的に多く、脇役に注目が集まりにくいのかもしれません。数年にわたる長期連載を続けるとなると、主人公が出ずっぱりで回すのは難しくなり、話が進むごとに脇役の相対的な出番が増え、読者の目が主人公以外にも向くようになるのではないでしょうか。
●主人公の人気があとから上昇した珍しい例
逆に、2回目の人気投票でようやく主人公が1位を取った、珍しい例もあります。作者の賀来ゆうじ先生が「少年ジャンプ+」で3年にわたって連載していた『地獄楽』は、主人公の画眉丸が人気投票1回目で3位→2回目で1位という、非常に珍しい上昇曲線を描きました。主人公の人気投票順位は連載が進むにつれてじわじわ下がってくることが多いなか、最終盤の人気投票で1位だったということは、正真正銘の人気キャラだったということになります。
現在、賀来ゆうじ先生が「ジャンプ」本誌に連載中の『アヤシモン』は、連載開始から4か月ほど(本記事執筆時点)ですので、人気投票が行われた時にどのような結果になるか、とても気になるところです。
(ニコ・トスカーニ)