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「ライダーカード」も50年で進化した! スナックのおまけから最新ゲームまで…

『仮面ライダー』のカードといえば、どの世代にも思い出深い商品でしょう。そこで今回は、どのようにカードが『仮面ライダー』と関わってきたのかを振り返ります。

子供たちを熱狂させた、オマケ付きお菓子の元祖

1971年に放送された、初代『仮面ライダー』。同じ年に「仮面ライダースナック」が発売されている。画像は同作DVD VOL.1(東映)
1971年に放送された、初代『仮面ライダー』。同じ年に「仮面ライダースナック」が発売されている。画像は同作DVD VOL.1(東映)

『仮面ライダー』シリーズの商品といえば「変身ベルト」が一般的ですが、それと並ぶほど商品展開されているものとして「カード」があります。実はライダーとカードの関係は意外と古くて長いものでした。

 シリーズ最初の作品である『仮面ライダー』のブームを支えた商品に、「仮面ライダースナック」というお菓子があります。この商品はお菓子メーカーとして有名なカルビーが販売したもので、おまけとしてもらえるライダーや怪人の写真を使ったカードが子供たちの目当てでした。

 さらに、ごくまれに封入されていたラッキーカードをカルビーに送ると、カードを収納するアルバムと交換できるという特典もあり、子供たちはこぞって買い集めます。

 1971年末ごろから関東限定で販売したこの商品は、またたく間に子供たちの心をとらえ、翌年3月には全国展開しました。

 カードの魅力はいくつかあります。まずは使用されている写真。撮りおろしでカードにしか使われていない写真もありました。時には書籍よりも早い情報や写真も使われたことも魅力のひとつです。

 さらに、カード裏の説明文が書籍にも載っていない貴重な情報だったことも大きな魅力でした。それまでのカードの主流だったブロマイドになかった仕様で、トレーディングカードにつながるこのフォーマットは本商品が先駆けになります。

 ちなみにこの説明文を書いたのが、番組プロデューサーの阿部征司さん。つまり公式の設定です。後にお聞きしましたが、とにかく本数が多かったので良い小遣い稼ぎになったそうです。

 数の多い商品でしたから、自然と余ったカードを交換する子供が増えました。いわゆるトレードです。この年代の人はライダーカードでトレードを知り、ものによってレートが違うということを覚えました。もっとも当時、「トレード」という言葉はプロ野球くらいでしか使われていなかったと思います。

 このような魅力にあふれた商品でしたから未曽有の大ブームになったわけですが、実は筆者はあまり商品を買ったことがありません。それはメインであるはずのスナックがどうにも美味しくなかったからです。甘い焼き菓子のような商品だったのですが、一袋食べるのも苦痛な味わいでした。これは筆者だけでなく、周りの子供たち、後に知り合った人も同じことを言っています。

 そういう理由から、食べ物を粗末にしてはいけないと教えられた子供時代の筆者は、ひとつ食べてから次を買っていたのですが、カードが切り替わるサイクルがあまりにも早く、そのスピードについていけず買うことをあきらめました。

 しかし、大多数の子供たちはライダーカードの魅力に取りつかれ、カードのために大量に商品を買って、お菓子は捨てる……という行為に出ます。これが当時の社会問題になった「ライダースナック投棄事件」でした。

 事件といっても注意喚起が行われるだけで、本商品は後番組『仮面ライダーV3』に入っても販売を続けます。販売が中止になった要因は諸説ありますが、商品は「プロ野球スナック」と「マジンガーZ スナック」に切り替わったことで、自然とライダーカードはブームに自ら幕を閉じました。

【画像】今も昔も変わらずそばにある! 仮面ライダーとカードの関係(4枚)

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