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『鬼滅の刃』「炭治郎、お前の方が鬼だろ!?」と、映画館でゾッとした瞬間

映画『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』にも含まれる「遊郭編」の第10話、第11話は「神回」と呼ばれていますが、あらためて「炭治郎! お前の方が鬼だろう!」と言いたくなるシーンもありました。「鬼気迫る」を上回る炭治郎のゾッとするシーンについて考えてみます。

「鬼気迫る」炭治郎は、「鬼」をも超える!

神回と呼ばれる「遊郭編」の第10回、11回が含まれる『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』本ポスター (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
神回と呼ばれる「遊郭編」の第10回、11回が含まれる『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』本ポスター (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 2023年2月3日から公開された映画『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』は、TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』の第10話と第11話、そして2023年4月から放送されるTVアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の第1話で構成されています。『鬼滅の刃』において、アニメ「遊郭編」の第10話、第11話は「神回」と呼ばれるもので、TVで放送された時には、息をのむ展開、音柱・宇髄天元の華麗な戦闘、そして上弦の陸兄妹の悲し過ぎる過去に、まばたきも忘れて見入った方も多かったことでしょう。

 そんな神回の「遊郭編」の終盤ですが、映画館の大きなスクリーンで見て、あらためて炭治郎に違和感を抱きませんでしたか? もっと言うと、ゾッとしませんでしたか? 「炭治郎! お前の方が鬼だろう!」と……。

 この記事では、映画、『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を見て、「鬼気迫る」という言葉だけでは片づけられない、「炭治郎! お前の方が鬼だろう!」と感じさせるシーンについて振り返ります。

※この先の記事では、上映中の映画『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』及び、「刀鍛冶の里編」のネタバレを含みます。映画未鑑賞、原作マンガ未読の方はご了承の上、お読みください。

●実は、これまでにもあった、「鬼」の炭治郎

 炭治郎は家族思いで仲間思い、努力家な少年です。空気が読めなくて周りの人を怒らせたり、とまどわせたりもしますが、自分が戦った鬼にすら同情し、寄り添う優しさがあります。しかし、これまでにも炭治郎の底知れぬ怖さは描かれてきているのです。

 炭治郎が最初の任務で対峙した沼鬼を問い詰めるシーンでは、炭治郎は「女共はな!! あれ以上生きていると醜く不味くなるんだよ だから喰ってやったんだ!! 俺たちに感謝しろ」と身勝手なことを言う沼鬼の口を、刀で切り裂きます。最終選別で手鬼を倒した時には、手鬼に思いを寄せて、崩れる間際の手を握ってやった炭治郎なのに、沼鬼には怒りの感情をぶつけて拷問じみたことをしているのです……。

 この瞬間の炭治郎は、アニメでは後ろ姿で描かれていますが、原作マンガでは「黒いシルエットに丸い無機質な目だけ」の姿で描かれています。ゆらりとゆがんだ黒いシルエットの炭治郎は怒りに満ち、狂気すら感じさせ、「鬼気迫る」を超える「鬼」を感じさせるのです。

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