マグミクス | manga * anime * game

例えるなら「読む映画」? アニメの手法で描く日本発ヒーローコミック『戦隊』の挑戦

世界を視野に入れた、日本発の「ヒーロー像」

『戦隊』の作画を手がける、アニメーション監督の田中孝弘さん
『戦隊』の作画を手がける、アニメーション監督の田中孝弘さん

『戦隊』はその名のとおり、「戦隊ヒーロー」をモチーフとした物語ですが、そのテーマは「もし、現実世界に『戦隊』が存在したら? それは違法な武装集団の度を超えた暴力の行使となる」という、重厚でシリアスな内容です。そこには、「法を超えた正義は存在するのか?」「不完全な人間がヒーローとなり得るのか?」という、哲学的な問いが込められています。

 レーベル第1弾となる作品のテーマに「ヒーローもの」、なかでも「戦隊ヒーロー」を選んだ理由について、シカリオ代表で『戦隊』のストーリーを担当した中村神鹿さんは次のように話します。
 
「『ヒーローもの』自体は世界的にやり尽くされた感のあるジャンルであることは認識していますし、今の日本にはノワール(犯罪者や闇社会を題材にした作品;編集部注)というジャンルがあまり制作されないという実感もあります。

 それらを踏まえたうえで日本発の新しいヒーロー像を作るにあたり、やり尽くされた表現の先っぽをさらに削って鋭くすること、正義や悪の解釈を意図的にズラしていくことを意識しました。最初から大人をターゲットにしたシリアスな生身の人間の物語、暴力やセックスの描写も厭わないヒーローものにすることが、日本だけでなく世界に発信するうえで個性になり得ると考えたのです」

「ヒーローもの」というジャンルで生身の人間のリアルを描くという路線は、世界的に見れば必然ともいえる流れです。アメリカンコミック原作の映画では、2008年公開の『ダークナイト』では善悪が表裏一体であることを描き、2009年にR-15指定で公開された映画『ウォッチメン』では、現実世界にヒーローがいた場合の不都合を描き、2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、ヒーローの責任とその所在がテーマとして描かれました。

『戦隊』のストーリーは、そのようなアメコミの原作や実写映画に集結しているクリエイターでさえやっていないところまで踏み込む挑戦だと、中村さんはいいます。

 日本のロボットアニメにリアリティとシリアスなストーリーを持ち込んだ『機動戦士ガンダム』のように、作品づくりの転換点となった作品は、必ず後世に語り継がれます。日本発の大人向けヒーロー作品『戦隊』は、制作工程とストーリーの両面から新たなジャンルを確立していく挑戦として、さまざまな分野のクリエイターにインパクトをもたらすことでしょう。同作品のクラウドファンディングは、2019年5月31日まで「GREEN FUNDING」で実施中です。

(マグミクス編集部)

【画像】映像的表現が満載、『戦隊』のシーンと制作の裏側(12枚)

画像ギャラリー

1 2