ショッカー戦闘員はいつから「イー!」と叫んでいるのか 定着のきっかけは意外な人物だった?
第11話で「イー!」の扉が開く

第4話では「ゲェヘヘ~」。第5話で「ア” ~」。第6話では種類が増え「ア” ~」「ガ?」「グェ~」その中に「イ~」とも聞こえる声もありましたが、どれも低いうなり声のようです。第9話からは、喉を鳴らすように「エ”エ”ッ!」という声。ちなみに怪人たちはいろんな奇声をあげていて、その中に「イー!」と叫ぶものはありました。
そして、ついに第11話「吸血怪人ゲバコンドル」で伝説の産声をあげます。ちょっと意外なシーンでした。ショッカーが潜む教会で、式を挙げるカップルを襲うために扉を開け、3人の戦闘員が出て行くとき「イー!」と叫びます。
おそらくこれが記念すべき初の「イー!」ではないかと思われます。ただし、はっきり「イー!」と発したのは一度だけで、その後の戦闘シーンでは「ア”~」「イ~」「ガ~」などでした。
第12話で戦闘員は「イー」「イッ」と発していますが、声は低いのでまだ固まっていません。第1クール最後の第13話に戦闘員は出てきません。つまりここまで戦闘員の声は定着していませんでした。
おなじみの「イー!」は、第2クールから定着します。『仮面ライダー』は第14話から新シリーズ2号編がスタートします。最初の「イー!」は、ライダーの相棒となる滝和也が戦闘員の服を着て変装し、アジト入口に立つ門番ふたりと向き合って交わした「イー!」でした。
このとき、はじめて互いに右腕を挙げるおなじみのポーズを取っています。なんと一発目の「イー!」は滝和也が行っていました。これ以降、かけ声、返事、合図、威嚇などあらゆる場面で「イー!」もしくは短い「イッ!」を常用するようになるわけです。
第14話からキャラクターや演出などが全体的に明るくリニューアルされ、戦闘員もこれまでの顔面に色を塗った「不気味な人」から、顔をマスクで覆った「キャラクター」的に変わりました。加えて「イー!」の声は、子どもたちの仮面ライダーごっこで役割がわかりやすく重宝しました。
ちなみに戦闘員は、常人より数倍強い改造を施されている設定ですが、立花藤兵衛や女性、子どもと戦ってもチョロくやられてしまう、ふびんではかない役回りでした。でも番組には欠かせない、ライダー人気の陰の功労者といえるでしょう。
多くの特撮番組でいろんな悪の組織の戦闘員が登場し、統一した奇声を発していますが、やっぱりショッカーの「イー!」が一番イーですよね。
(石原久稔)


