ニュータイプ専用ガンダム「アレックス」は高性能だけど使いにくい? もしアムロに渡っていたら
クリス「機体が鋭敏すぎて扱いにくい」
![『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場した、「RX-78NT-1 ガンダムNT-1」。画像は「ROBOT魂 機動戦士ガンダム0080 [SIDE MS]RX-78NT-1 ガンダムNT-1 ver. A.N.I.M.E. 」(BANDAI SPIRITS)](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2023/04/230427-alex-02-201x300.jpg)
アレックスに搭乗したクリスは「機体が鋭敏すぎて扱いにくい」と言っていました。こればオールドタイプであるクリスが、ニュータイプ用ガンダムの性能に対応できない描写と考えられてきましたが、それだけではなく「操作性に問題があった」とも考えられます。
実際、クリスはテストパイロットですから、それなりの腕を持っていたはずです。しかし彼女が操縦するアレックスは、実戦経験をほぼ持たないバーニィの、性能で大きく劣るザクIIに接近戦を挑まれ、相討ちになっています。
アレックスは「高すぎる推力」「採用例のない全天周囲モニターやマグネット・コーティング」など、開発でトラブルが生じる要素が多くあると考えられます。ビームライフルも、出力を向上させた新型ライフルとなっており、トラブルが起こる要因でしょう。
元になったガンダム自体は、9月18日から実戦投入され、特に大きなトラブルも起こしていません。つまり、アレックスの「当時の技術力を越えた部分」がトラブルを続出させ、実戦投入できる状態ではないと判断されていた可能性が高いです。
実際、推力を7万500kgに抑えた、ガンダム4号機と5号機は実戦投入を実現しており、大きなトラブルもないようです。アレックスの後に開発された「ペイルライダー」は推力10万3200kgですから、アレックスの大推力が実用化を阻んでいたと考えられます。
これほどの推力重量比を持つ機体に、AMBACシステムの性能が追い付いておらず、例えば「宇宙に出ると、思ったように動かせない」(『機動戦士ガンダム0083』のガンダム試作1号機が「宇宙用」ではないので、上手く動かせないという描写がありましたが、あのような状態です)といった問題があったのかもしれません。
機械的要因によるトラブルが原因であれば、いかにアムロが凄腕とは言え、機体性能を引き出せなかった可能性も高いでしょう。
ネット上では「アレックスにアムロが乗っていれば、シャアのジオングを簡単に撃墜できた」とよく言われています。アレックスは上記の通り、時系列を見れば、ソロモン戦に間に合う機体です。
ですから、言われている性能が発揮できるなら、ジオングの撃墜以前に「ビグ・ザムに簡単に接近できて、スレッガーは死ななかった」「シャアのゲルググとララァのエルメスと交戦しても、ゲルググだけを撃墜でき、歴史が変わった(ここでシャアが戦死するので、ジオングとの対戦は発生しない)」という可能性はあるでしょう。
とはいえ、アレックスと同等の推力重量比を持つ『0083』の各種ガンダムの3~4年後に開発されたガンダムMK-2の推力重量比が、1.5と抑え気味であることを考えても、大推力を備えたモビルスーツ開発は、簡単ではなかったというのが筆者の推察です。
アムロは「アレックスは扱いにくいので、マグネット・コーティングをしたガンダムの方がいいです」と言ったかもしれません。
(安藤昌季)