マンガ、特撮はすぐ浮かぶけど? アニメ界で「神様」と呼ばれる偉人とは
ジャンルの礎を築いた偉大な先人は、「〇〇の神様」と称されることがあります。「マンガの神様」は手塚治虫先生、「特撮の神様」は円谷英二氏、のように。ではアニメの神様は、どなたなのでしょうか?
アニメ大国日本における「アニメの神様」はいったい誰?

「マンガの神様」といえば、手塚治虫先生です。『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『火の鳥』『ブラックジャック』……言わずと知れた傑作群を世に送り出した、偉人です。
また、「特撮の神様」といえば円谷英二氏です。1954年の初代『ゴジラ』(1作目のクレジットは「特殊技術 圓谷英二」)から、特技監督として「ゴジラ」シリーズを手掛け、ウルトラシリーズを監修するなど、その功績はあまりにも有名です。
このように、各ジャンルの礎を築いた人物は「〇〇の神様」と称されることがしばしばあります。さて、そうなってくると、「アニメの神様」はどなたになるのでしょうか?
手塚先生、円谷氏と比べると、「アニメの神様」は即答しかねます。スタジオジブリの世界的巨匠・宮崎駿監督でしょうか。あるいは「虫プロダクション」を設立した手塚先生が、まさかの2枚抜きでしょうか。実際、特集記事などによっては「マンガ・アニメの神様」という風に称されている場合も、見受けられます。
世界屈指のアニメ大国である日本においては、「神」的な格を与えるべき人が多すぎて、なかなか特定のひとりに定まらないのが実情なのかもしれない……と思いきや、実は往年のアニメファンの間において、「この人!」と言われる偉人がいるのです。
その方は、吉田竜夫氏です。もしかすると、名前を見てもピンとこない方もいるかもしれませんが、2022年に創立60周年を迎えた「タツノコプロ(竜の子プロダクション)」を創った人物として知られています。そう、『科学忍者隊ガッチャマン』『ハクション大魔王』『昆虫物語 みなしごハッチ』などなど、ヒット作を連発し続けてきた、あのタツノコプロの生みの親です。元は1950年代から活躍する漫画家だった吉田氏の版権やアシスタントを管理する、「マンガ専門のプロダクション」でしたが、1965年の『宇宙エース』の制作から数々の名作アニメを手掛けてきました。
上記に挙げた作品は、全て吉田氏の原作です。これだけでも「アニメの神様」の称号は納得しかないのですが、タツノコプロの公式ホームページでは彼が「いつも口にしていた言葉」として、次の文言が紹介されています。
「世界のこどもたちに夢を」
まさに、「神様」と呼ぶにふさわしい素晴らしい言葉です。そんな吉田竜夫氏の功績を、タツノコプロで育った豪華な関係者の証言によって紐解く書籍『タツノコプロを創った男 アニメの神様 吉田竜夫の全仕事』が、2022年11月に発売されています。この本を読んでから、タツノコプロの名作を見ると、より感動が増すかもしれません。
(片野)