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『Zガンダム』エゥーゴはなぜ「ガンダムMk-II」を使い続けた? 『ZZ』でもフル活用!

『Zガンダム』前半の主役モビルスーツ「ガンダムMk-II」は、エゥーゴがティターンズより奪取した機体です。元は同じ地球連邦軍とはいえ、敵軍のMSを使用するのは不具合もありそうですが、なぜ使い続けられたのでしょうか。

パーツも3機分しかない!

タイトルに謳われた「Zガンダム」の登場まで作品の顔役を務めた「Mk-II」。画像はBANDAI SPIRITS「PG 1/60 ガンダムMk-II」 (C)創通・サンライズ
タイトルに謳われた「Zガンダム」の登場まで作品の顔役を務めた「Mk-II」。画像はBANDAI SPIRITS「PG 1/60 ガンダムMk-II」 (C)創通・サンライズ

「ガンダムMk-II」は、アニメ『機動戦士Zガンダム』の主人公「カミーユ」が搭乗するモビルスーツ(以下MS)として、作品前半の顔役ともいえます。

 カミーユが所属することになる、反地球連邦組織「エゥーゴ」が、敵対する「ティターンズ」より奪取した機体であり、作品全体で3機がエゥーゴの手に渡ります。

「敵対勢力から奪った機体に主人公が搭乗する」という展開自体は、『Z』の前番組である『重戦機エルガイム』の後半主役機「エルガイムMk-II」でも見られましたが、「エゥーゴが3機を奪い取る」ことで「損傷時の修理はどうやってしているの?」という疑問を自然に解決しているのは「さすがガンダム。設定がしっかりしているな」と、放映時に感じたものです。

 ただ、この「ガンダムMk-II」、『Z』だけでなく、続編の『機動戦士ガンダムZZ』でもほぼ全編で登場しました。さらには『ZZ』の2年後である宇宙世紀0090年を舞台とする、マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(著:Ark Performance/メカニックデザイン:大河原邦男/原作:富野由悠季/原案:矢立肇/KADOKAWA)で、増加装甲を装備しつつ出力は15%向上した「フルアーマーガンダムMk-II」となり運用されています。

 それだけ長く使用される以上、よほどの高性能機なのかといえば、そうでもありません。

 エゥーゴが同時期に実戦投入していた「リック・ディアス」と比較してみましょう。

●ガンダムMk-II
・ジェネレーター出力:1930kw
・スラスター推力:8万1200kg
・センサー半径:1万1300m
・装甲材質:チタン合金セラミック複合材

●リック・ディアス
・ジェネレーター出力:1833kw
・スラスター推力:7万4800kg
・センサー半径:1万1500m
・装甲材質:ガンダリウムγ(ガンマ)

 ジェネレーターとスラスターで「ガンダムMk-II」がわずかに勝りますが、センサーと装甲では「リック・ディアス」が上回ります。

 さらにいうなら「存在しなかったこと」にされていたとはいえ「ガンダムMk-II」開発開始の2年前である、宇宙世紀0083年に実戦投入されていた「ガンダム試作3号機『ステイメン』は、下記のようなスペックでした。

●ガンダム試作3号機「ステイメン」
・ジェネレーター出力:2000kw
・スラスター推力:18万8800kg
・センサー半径:不明
・装甲材質:ルナ・チタニウム

「ルナ・チタニウム」とは「ガンダリウム合金」の一種です。全周囲モニターも採用していますから、試作3号機は「ガンダムMk-II」の性能を上回っているとすらいえます。

 そうしたわけでティターンズが、連邦系技術の総力を上げて試作した「我々の、我々による、我々のためのガンダム」であるところの「ガンダムMk-II」は、さほど高性能機とはいえません。実際、本機の設計者であるカミーユの父、「フランクリン・ビダン」は「あんなもの、もういらんでしょう」と、「ガンダムMk-II」が奪われても気にしていませんでしたし、「クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)」も「加速性能は抜群」と評価するものの、弱装甲については「Mk-IIは所詮Mk-II」と評価していません。

 にも関わらず、エゥーゴは並々ならぬ執念で「ガンダムMk-II」を実戦化します。構造上の不備があった本機に対して、数回の改修を行うことで(資料によっては装甲がガンダリウムに換装されたともあります)、信頼性を向上させたのです。さらに、サポートメカとして「フライングアーマー」「Gディフェンサー」「メガライダー」「フルアーマー」が製造され、高性能化する他勢力MSに対抗できる性能を維持したのです。

 特に「フルアーマーガンダムMk-II」は、パイロットとしての技量に定評のある「ヤザン・ゲーブル」が搭乗していたとはいえ、宇宙世紀0093年の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するMS「ヤクト・ドーガ」に近い性能と思われるMS「ディジェ・トラバーシア」とある程度、互角に戦うほどの高性能を発揮しています。

 実際の戦争でも、例えばフランスは旧日本軍の九五式軽戦車に増加装甲を付けて、独立勢力鎮圧に使うなど「敵から奪い取った兵器を改良して使う」実例がないわけではありません。エゥーゴとティターンズは元々、同じ地球連邦軍ですから、整備や補給の規格が同じであるなど、運用がしやすい環境もあったのでしょう。

 とはいえ「ガンダムMk-II」を、長期間継続的に使用するためには、修理用部品も生産せざるを得ないでしょうし、その維持コストに見合うほどの高性能機かといえば、可変型MSも多数登場する時代ですから、微妙にも感じられます。

 エゥーゴはなぜ、多大な維持コストを支払ってまで、そのような「ガンダムMk-II」を維持し続けたのでしょうか。

【画像】言われてみれば格上ばかり…? 「フルアーマー」「ステイメン」等記事中に名前の挙がった機体をチェックする(17枚)

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