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『Zガンダム』エゥーゴはなぜ「ガンダムMk-II」を使い続けた? 『ZZ』でもフル活用!

理由は「『ガンダム』だから」

「黒いガンダム」ことティターンズ仕様の「Mk-II」。BANDAI SPIRITS「RG 1/144 ガンダムMk-II(ティターンズ仕様)」 (C)創通・サンライズ
「黒いガンダム」ことティターンズ仕様の「Mk-II」。BANDAI SPIRITS「RG 1/144 ガンダムMk-II(ティターンズ仕様)」 (C)創通・サンライズ

 おもちゃ会社の都合といったメタ的な話はさておき、物語世界の整合性という観点から考察してみましょう。

 エゥーゴが「ガンダムMk-II」を維持、運用し続けた理由、それは「反地球連邦組織」である彼らにとって、「ガンダム」がどうしても必要なものだったからではないでしょうか。

 エゥーゴと敵対するティターンズは「ジオン狩り部隊」として知られる精鋭部隊です。ですから、それと敵対するエゥーゴは「ジオン残党」と同一視されやすい存在といえます。しかし、実際のエゥーゴには多くの穏健な地球連邦軍人が参加しており、彼らの多くは「自分たちはジオン残党ではない。ティターンズが30バンチ事件で民間人を殺害するような、ジオン公国と変わらない愚行を重ねているから、仕方なく戦っているだけだ」というスタンスでしょう。

 ですから、エゥーゴは「自分たちはジオン残党ではない。地球連邦の改革者なのだ」という宣伝をしたかったでしょうし、そのために「地球連邦の象徴である『ガンダム』をフラグシップ機として運用している」というのは、最高の宣伝効果があると見なしていたのでしょう。

 思えば、エゥーゴの主力MSである「リック・ディアス」も「γ(ガンマ)ガンダム」として計画された機体でした。それを幹部であるクワトロが「『ガンダム』ではない名前に」と横やりを入れたわけです。彼が搭乗する「百式」も「デルタガンダム」として開発された機体でした。恐らく、ここでも「ガンダム」に複雑な感情を持つクワトロが、ナガノ博士と相談して「百式」と命名したのでしょう。

 戦力確保のために、元ジオン軍人であるクワトロらに配慮するエゥーゴの事情があるのだと思いますが、そのような「ガンダム」を巡る駆け引きのなか、「アースノイドがスペースノイドを威圧するために開発した『ガンダムMk-II』」を入手したことで「エゥーゴのフラグシップ機」としての運用が政治的に求められたのでしょう。

 つまり「白いガンダムが味方にいる連邦系組織であることを宣伝したい」という政治的事情により、「ガンダムMk-II」を白く塗り替えたのでしょうし、その反響が大きかったから「撃墜されては困る」として「Gディフェンサー」などの、サポートメカも整備されたのでしょう。

 そして「ガンダムMk-II」は「改良に耐える素性のいい機体」だったのでしょう。実際、優れたニュータイプとはいいにくい「エマ・シーン」が操縦する「ガンダムMk-II」は、可変MSで格上の「ガブスレイ」「ハンブラビ」などと何度も交戦していますが、撃墜されていません。格上の「パラス・アテネ」との交戦でも、損傷していたのに相打ちに持ち込んでいます。

『ZZ』でも、おもに搭乗していた「エル・ビアンノ」はパイロットとしての経験が少ないにも関わらず、性能では同等か上回るはずのネオ・ジオンMSを相手に善戦し、圧倒的に格上のMS「クイン・マンサ」と戦っても中破に留まっています。

 つまり、単純なスペックに現れない運動性能や、射撃精度などが非常に優れており、数次の改良で「とても扱いやすい機体」に進化していたということなのでしょう。

 実際、『ZZ』時よりも出力が向上したとはいえ、鈍重にも見える「フルアーマーガンダムMk-II」に搭乗したヤザンは、シャアの射撃を受けても被弾しておらず、性能にも不満を持っていません。ヤザンが直近で搭乗していたのが、ジェネレーター出力3040kw、スラスター推力18万3000kg、センサー半径1万3000mの可変MS「ギャプラン」であったことを考えるなら、「ガンダムMk-II」はスペックには見えない部分の高性能を持っていた、ということになるでしょう。

「ジムIII」や「バーザム」など、「ガンダムMk-II」の基本設計を反映した量産機が数多く存在するのは、この機体の素性の善さや運動性能を示していると考える次第です。

(安藤昌季)

【画像】言われてみれば格上ばかり…? 「フルアーマー」「ステイメン」等記事中に名前の挙がった機体をチェックする(17枚)

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