「…ゲルググ?」ここにきて注目集まるMS「ディジェ」って? アムロもシャアも搭乗
『機動戦士Zガンダム』のMSの中でも人気のある「ディジェ」。しかし、放送当時はゲルググ似のMSにアムロが乗ることに抵抗があったファンも多くいました。それゆえにガンダムの要素を加えたバリエーション機が作られています。
放映当時はファンから非難されたこともある「ディジェ」
『機動戦士Zガンダム』に登場したMS(モビルスーツ)「MSK-008 ディジェ」は劇中にて、かつての主人公である「アムロ・レイ」の乗機として描かれました。ファンも多いといわれており、そのためなのか近年ではバリエーション機が多く登場しています。
ディジェは、地上に残されたMS「RMS-099 リック・ディアス」をベースに、反地球連邦組織「カラバ」が独自に開発した機体です。後年の設定では、「ルオ商会」や「アナハイム・エレクトロニクス」のキャリフォルニア・ベース支社が開発に協力したといわれています。
基本は「リック・ディアス」を地上戦用に改修した機体で、MS「ゲルググ」に似たフォルムは旧ジオン系の技術者が担当したからと設定されていました。汎用型MSを地上戦用に改修したという点では、「MS-06 ザク」と「MS-07 グフ」の関係に近いのかもしれません。
高性能ゆえにピーキーで扱いが難しいといわれており、アムロをはじめとしたエースパイロットにのみ配備されました。そのため、生産は少数にとどまったそうです。しかし、後述する後年の描写から考えると、ほとんどの機体が撃破されることなく残っていたと推測できるかもしれません。
このディジェはTV版アニメ放送当時、かなり話題になっていました。その理由は、アムロの乗る新型機がゲルググ似のMSだったからです。やはり、ファンとしてはアムロが乗るMSは「ガンダム」タイプを期待していたのでしょう。現代なら間違いなくそうなっていたかもしれません。
これに関しては諸説あり、おそらく富野由悠季総監督としてはアムロをガンダムに乗せたくなかったからなのでしょう。当時の富野総監督のシノプシスには、アムロが死亡するという想定もされており、前作の主人公に過分な活躍はさせたくなかったと考えられます。
アムロが活躍すれば、本来の主人公である「カミーユ・ビダン」の存在に影を落とすことは必然で、本編のようにアムロが地球から出ないという設定が、カミーユの活躍の邪魔にならなかったことになるわけです。また逆に、活躍の場が少ないこともあって、アムロは弱体化することなく描くことができたといえるでしょう。
このディジェをデザインした藤田一己さんには当初、アムロが乗る予定のMSという話は伝わってなかったといわれています。おそらくリック・ディアスの発展型というオーダーだったのでしょう。それゆえにゲルググ似のデザインになったと推測できます。
後にディジェがアムロ機と知った藤田さんはおどろいたそうで、当時のファンに対して謝罪に近い旨の発言をしていました。この後悔からか、後に雑誌『B-CLUB』(バンダイ)で短編マンガを描いた際、顔のデザインをガンダム風にアレンジしたディジェにアムロを乗せています。
さらに「SE.DJ-1R ディジェSE-R」という「Z-MSV」に属するMSも、ガンダム風のアレンジがされていました。明確な設定はありませんが、ゲームなどでは本来のディジェ以上にアムロ搭乗機として登場することの多い機体です。
逆に本来のジオン系デザインを生かしたアレンジをしたのが、『コミックボンボン』(講談社)で連載された近藤和久先生のコミカライズマンガ『機動戦士Zガンダム』に登場した「MS-110 チャイカ」でした。こちらでは多少デザインをアレンジして、ジオン軍残党組織「アクシズ」の量産型MSとして「AMX-003 ガザC」に代わって登場しています。