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『ドラクエ』なぜ同じヤツがいっぱいいる? 見た目が“人間っぽい”魔物たちの謎

「ドラゴンクエスト」シリーズに登場する、たくさんのモンスターのなかには、「これって魔物なの?」と疑問に思ってしまうような造形をしたものもいます。明らかに見た目が人に近い部分も多く、それらをモンスターと呼ぶには違和感があることも。どのようなモンスターが当てはまるのでしょうか。

部隊やチームがあるから同じ服装なの?

「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー スライムナイト」(スクウェア・エニックス) (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー スライムナイト」(スクウェア・エニックス) (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

「ドラゴンクエスト」シリーズといえば、バリエーション豊富な敵モンスターが登場するのも魅力のひとつです。プレイヤーによって、印象に残っているモンスターもさまざまでしょう。

 そもそも「モンスター」とは「化け物」や「怪物」を意味します。「ドラクエ」では敵キャラを「魔物」とも呼び、「魔物」は本来の言葉の意味では、「人に害を与える化け物の類」とされています。「ドラクエ」シリーズの代表的なザコキャラである「スライム」が分かりやすい例で、人とはほど遠い奇妙な姿をしており、そういった見た目の生き物をモンスターや魔物と呼ぶのは納得できます。しかし、なかには「これってモンスターなの?」と疑ってしまうような、人間に近いビジュアルをしたタイプも存在します。

 まず前提として、モンスターは野生に生息する動物と同様、同じ系統であれば色合いが違ったとしても、体の作りはほぼ同じなはずであり、生まれながらの姿であると仮定します。

 例えばライオンやシマウマなどは、毛の生え方などの変化や個体差があっても基本は生まれた姿のまま大きくなり、息絶えるまで生身の体のままです。もちろん、モンスターのなかには、本来の定義にない幽霊や呪いによって誕生した、いわゆる生物ではないオカルト的な存在もあるので、そういったタイプは例外とします。また、外伝などの作品による設定などは勘定せず、あくまでもナンバリングタイトルの世界観のみで考察します。

●魔物に乗っている系

 上述した前提を踏まえて各モンスターをタイプ分けすると、「魔物に乗った状態」で現れるキャラが存在します。例えば、スライムに乗った「スライムナイト」、メタルスライムとペアの「メタルスライダー」が当てはまるでしょう。

 さっそくふたつのキャラは「生まれながらにしての姿」ではなく、乗っているナイトとスライムに分けられます。そもそも気になるのは、ナイトは魔物なのでしょうか。人よりも頭身が低いところは「人間ではない」という雰囲気があるものの、見た目はほぼ人であり、人のように鉄仮面、鎧をまとい、剣と盾を装備しています。

 また、生息地であるフィールド上で何度も同じ姿の個体に遭遇することを考えれば、なぜ同じ身長、装備なのかという疑問も浮かびます。あくまでも想像ですが、ナイトのような見た目の種族がいて、生まれて成獣になれば、一族内でこしらえた武器や防具、管理しているスライムが与えられるのでしょうか。

『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑』(スクウェア・エニックス)によれば、スライムナイトのナイトは仲良しのスライムを守ろうと決心したことでスライムとペアになったとのこと。もともとナイトは単身で生息していたなかで、勇気あるナイトの決断によって「スライムナイト」の形が主流となったとも推測できます。

 とはいうものの「スライムナイト」系は上述したように、ナイトにモンスター感があるので、魔物としてカウントすることに違和感はありません。

 しかし、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場する「ドラゴンライダー」「ガーディアン」(『ドラゴンクエストVI 幻の大地』の同名モンスターとは別)は、明らかに人のような存在がドラゴンに乗っています。公式では「魔界の戦士」「魔界を守護する狂戦士」と設定されており、人間の戦士と変わらない見た目をした上記のキャラをモンスターと呼ぶことには違和感を覚えてしまいます。

 また同じ服装をしているのは、魔界のなかに兵士を束ねる部隊があって、それらを管理するボスによって身にまとうもの、騎乗するドラゴンが違うのでしょうか。

●神官、呪術師、魔法使い系

 しつこいようですが、人に近い造形のモンスターであれば、同じ見た目や服装のものがいることに何かしらの理由がないと、モンスターに分類されることが納得しづらいところです。

 例えば『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に登場する「ようじゅつし」は公式の設定で、「かつて大神官が、闇のチカラに手を出したために破門され、悪の道に堕ちてしまった姿」とされていることから、かつては人間だった可能性が考えられます。しかし違和感があるのは「ようじゅつし」が大量に存在していることです。大神官が悪の道にたどれば、その瞬間に、皆が同じ姿になってしまうのでしょうか。

 関連モンスターである『ドラクエ2』の「きとうし」、『ドラクエ2』と『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の「あくましんかん」、『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』の「あくま神官」も、ツノがあったり、杖を持っていたりなど、多少の違いはあっても、ほぼ同じ見た目です。

 仮定として「ようじゅつし」のように悪の道をたどれば、何者かの力が働いて悪い神官系の姿に変えられてしまうと考えれば、つじつまが合います。あとは単に「自身を複製する能力」を持った大元のひとりが、たくさんのコピーを作ったという可能性も考えられるでしょう。

 また『ドラクエ4』の呪術師「しりょうつかい」、邪教を信仰する祈祷師「ビビンバー」、魔法使い「ブラックマージ」は、それぞれ見た目が同じの色違いです。ザコキャラで屈指の実力「だいまどう」も、ラスボス「デスピサロ」に仕える大神官「エビルプリースト」の色違いのため、上述した考察と同じパターンでしょうか。

 もっと考えてみると、『ドラクエ5』に登場する「光の教団」の使徒「ゲマ」の存在を踏まえた時、「宗教の崇拝者は正装である宗教装束を着てもらう」という説も考えられます。『ドラクエ5』には、ゲマと瓜ふたつの「ネクロマンサー」という呪術師が存在します。もしかすると「光の教団」を崇拝しており、同じような装いをする信者が増えたと考えられないでしょうか。上述した神官や魔法使いなども、呪文の流派が同じために、服装を統一していたのかもしれません。

【画像】え、もう一生戦いたくない… これが「色違いのザコ」がトラウマを残したボスどもです(5枚)

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