「ガンダム」シリーズの「木星帰り」は何を意味するの? それだけで一目置かれるワケ
「ガンダム」シリーズには劇中、「木星帰り」のふたつ名で呼ばれる人物が登場します。「木星から帰還したこと」そのもので一目置かれている様子がうかがえるわけですが……「木星帰り」に込められた尊敬と畏怖を読み解きます。
「木星帰り」が意味するものとは?
「ガンダム」シリーズには、「木星帰り」と呼ばれる人物が登場します。本編で登場した人物としては「シャリア・ブル」(『機動戦士ガンダム』)や「パプテマス・シロッコ」(『機動戦士Zガンダム』)がそう呼ばれ、そして一目置かれる存在として描かれていました。
この「木星帰り」とはどういうもので、そして木星には何があるのでしょうか。
●木星にはいったい何があるのか? 派遣する組織は?
「ガンダム」シリーズの世界観において、宇宙船やモビルスーツなどを動かす「熱核反応炉」には「ヘリウム3」などが必要です。もともとは月面で採掘されていたものの十分な量を得ることができず、そこで目をつけたのが、地球から約9億km先にあり大気中に多くのヘリウム3が含まれている木星でした。
これを採掘するために組織されたのが、半官半民の「木星開発事業団」です。この組織は、連邦政府の管轄下ではあるものの関係は薄く、政治的には中立です。そしてその職員は必ずしも連邦政府から派遣されているわけではなく、なかにはジオン公国からの人員も含まれていました。
●「木星帰り」が一目置かれる理由
先にも述べたとおり、地球圏から約9億km離れている木星への航行は、往復で4、5年かかるといわれています。そして、その採掘船における職員たちの生活は過酷なものだったようです。
長期間にわたる閉鎖空間での生活に、心理的重圧をおぼえる者や、錯乱してしまう者も少なくなかったようで、この採掘船団のキャプテンには、優れた統率力や判断力を有する人物が選出されました。
つまり、キャプテンを務めたシャリア・ブルやパプテマス・シロッコは、そもそも素養に富んだ人物だったと推察できます。
また、厳しい環境を乗り越え地球圏に帰還した「木星帰り」のなかには、ニュータイプ能力を発現させる者がいました。これは長期間、特異な環境に身を置いていたため能力を目覚めさせるきっかけになったのではないか、と(物語世界において)いわれています。
このように「木星帰り」という呼称は、そもそもキャプテンに選ばれる高い能力や、宇宙開発などに必要不可欠なヘリウム3を過酷な環境のなか持ち帰ってきた功績に対する敬意の払われたものであり、そしてそのような人物であるからこそ一目置かれるのでしょう。