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スーパー戦隊最新作『魔進戦隊キラメイジャー』が持つ、「懐かしさ」と「新しさ」

新戦隊『キラメイジャー』が放つ、「新しさ」の輝き

エンディングでキラメイダンスを踊る、キラメイレッド。画像は『魔進戦隊キラメイジャー』番組公式TikTokアカウント (C) 2020 テレビ朝日・東映AG・東映
エンディングでキラメイダンスを踊る、キラメイレッド。画像は『魔進戦隊キラメイジャー』番組公式TikTokアカウント (C) 2020 テレビ朝日・東映AG・東映

 戦隊史上最多人数の『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017~2018年)や、2大戦隊の対立を描いた『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018~2019年)など、大胆な作品が近年続いたこともあり、比較的シンプルな構造の本作『魔進戦隊キラメイジャー』に「懐かしさ」や「安心感」を感じさせる側面はあるでしょう。しかし、スーパー戦隊シリーズは、時代性などを取り込みながら毎年進化を続けるのが特徴のシリーズです。

 次に、『魔進戦隊キラメイジャー』が持つ新しさや時代性を見ていきましょう。

 まずは、キラメイジャーに選ばれたメンバーたちの「個性」です。イメージを形にできる高校生の熱田充瑠/キラメイレッドを筆頭に、イケメンアクション俳優、スーパードクター、陸上選手、eスポーツのプレイヤーと、技術力や表現力が重要になる職業のメンバーが集結しました。特に射水為朝/キラメイイエローがeスポーツのプレイヤーである点に、時代性を強く感じます。

 キラメイジャーのモチーフにはシリーズの定番ともいえる「乗り物」と「宝石」のふたつが選ばれています。「宝石」モチーフの戦隊は、過去に『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982~1983年)と『超新星フラッシュマン』(1986~1987年)がありました。しかし『キラメイジャー』はその2作品以上に宝石のイメージが全面に押し出されています。

 ゴーグルファイブもフラッシュマンも宝石の意匠はマスクの額の部分に限定されていましたが、キラメイジャーは頭部全体が宝石をイメージした造形となっており、肩のパーツも輝いています。合体メカのキラメイ魔進や巨大ロボのキラメイジンのスーツ、変身シーンもキラキラ輝いており、映像技術と造形技術の進化を感じさせます。

 またほかの4人のメンバーがすでに輝きを放つ存在なのに対して、熱田充瑠は自分に自信が持てず、キラメイジャーへ参加することに対しても前向きになれないキャラクターでした。これは未知の可能性を秘めた充瑠の存在を、宝石の「原石」に見立てて物語を組み立てているということでしょう。

 『魔進戦隊キラメイジャー』はまだ始まったばかりです。キラメイジャーたちの個性、初々しいキャスト陣、そして作品そのものが1年間の放送を経て磨かれ、最後にどんなキラメキを見せてくれるのか、見守っていきましょう。

(森谷秀)

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