「大人の事情」で放送枠を奪われた『電脳警察サイバーコップ』 打ち切りの影に読売ジャイアンツ?
最終回なのに総集編?
かくして、本作は第25話「恐怖の女戦士!ルナ登場」より、毎週水曜日の17時に放送時間帯が移動します。
同話よりアニメーター・イラストレーターとして人気を博していた、いのまたむつみさんデザインによる新幹部「ビーストマスター・ルナ」を登場させるなど強化策が打ち出されたもの、時間帯移動に伴う痛手は大きく、視聴率は一気に転落します。またタカラが発売していた玩具も、そのクオリティとは裏腹に苦戦を強いられていた事情もあり、第36話で惜しくも幕を閉じることとなりました。
なお、本編としての実質的な最終回は第34話で、最終2話は「リクエストトップ10特集」と題された総集編で枠を埋める形となりましたが、キャストによる新撮パートを設けるなど、本作にかけたスタッフは最後まで視聴者を飽きさせない工夫を怠ることはありませんでした。
もしも時間帯移動がなく、人気を維持し続けたら、新たな特撮ヒーローシリーズが誕生していたかも? そんな大いなる可能性を秘めていた本作ですが、映像自体がデジタル主流となった現在では、ルックも当時ほどの違和感はないでしょうし、YouTubeの「タコラチャンネル」では第1話~第27話までの8エピソードが現在も配信されており、手軽に観ることができます。この機会にぜひ『電脳警察サイバーコップ』の魅力を再発見してもらえればと思います。
(参考書籍):
「ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK vol.13 電脳警察サイバーコップ」(講談社シリーズMOOK)
『光を継ぐために ウルトラマンティガ』(洋泉社)
(田中一)