「エヴァンゲリオンは巨大ロボットじゃない?」 多くの人が勘違いしている初号機の正体
「エヴァンゲリオンは巨大ロボット」とはいえない? 『エヴァ』未視聴者が勘違いしがちな初号機の正体とは。
厳密には「ロボット」じゃない?
ネット上や街でよく見かける「エヴァンゲリオン」のグッズ。紫と緑を基調とした初号機のデザインは、アニメを見たことがない人でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
アニメ史に大きな影響を与えたこの作品について、多くの人が「エヴァンゲリオンは巨大ロボット」という印象を持っているようです。しかし、その認識は少し単純過ぎるのかもしれません。
※以下の記事では、作品の重要な設定やストーリーの核心に触れる内容が含まれています。
エヴァンゲリオンは、単なる機械的なロボットとは異なる特徴を持っています。その正体は、むしろ人工的に作られた「人造人間」に近い存在として描かれているのです。このことは作中でさまざな形で明らかにされており、従来のロボットアニメとは一線を画す特徴として描かれています。
エヴァンゲリオンが機械的なロボットではないことは、その体の構造からも明らかです。装甲で覆われた外側は金属的に見えますが、その内側には筋肉や神経、そして心臓に相当する「コア」があります。また、戦闘で損傷を受けた際には出血さえするのです。これは明らかに生命体としての特徴といえるでしょう。
さらに衝撃的なのが、エヴァンゲリオンが敵である使徒を捕食するシーンです。TVシリーズでは第拾九話「男の戰い」で初号機が使徒「ゼルエル」を捕食します。戦闘中に暴走した初号機は、まるで野生の獣のように使徒に襲いかかり、その体を食い破ります。ロボットなら考えられない、本能的な生命活動の表れといえるでしょう。
パイロットがエヴァンゲリオンに乗り込む方法も、通常のロボットとは大きく異なります。エントリープラグと呼ばれるコックピットは、まるで母体の子宮のように特殊な液体で満たされており、パイロットはそのなかで直接エヴァンゲリオンの神経系統と接続します。これは単なる機械の操縦ではなく、まさに生命体同士のつながりを示しているとも捉えられます。
実は初号機には、さらに驚くべき真実が隠されています。初号機には「碇シンジ」の母親である「碇ユイ」の魂が宿っているのです。これは「巨大ロボット」というよりも、まさに「母性」を具現化した存在ともいえるかもしれません。
では、なぜ多くの人が「巨大ロボット」だと誤解してしまうのでしょうか。それは、一見すると金属的な装甲に覆われた外見が、従来のロボットアニメを連想させるためためでしょう。さらに「マジンガーZ」や「ガンダム」といった作品の影響で、巨大な人型兵器=ロボットというイメージが定着しており、なおかつ、これらの作品とともに「ロボットアニメ」のひとくくりとして「エヴァンゲリオン」シリーズが語られることも原因かもしれません。
エヴァンゲリオンが「人造人間」として描かれているのは、この作品の本質と深く関わっています。母の魂を宿した初号機、心の壁の具現化としてのATフィールド――。これらの設定は、単なるSFアニメの装飾ではなく、人とのつながりや心の在り方について、視聴者がひとりひとり考えるためのヒントにもなっているようにも思えます。
(マグミクス編集部)