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アニオリ追加も原作ファン「最高の仕上がり」 改変が大成功したアニメ3選

人気作品が原作のアニメは、作品の内容を知っている既読者も多いでしょう。そうした作品で、ファンも驚くほどに原作を上手く補完した改変がされ、評価されたアニメもあります。

原作になかった場面をアニメで補完

たった6コマが30分にふくらみ、ファン絶賛。画像はTVアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編 第1弾キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
たった6コマが30分にふくらみ、ファン絶賛。画像はTVアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編 第1弾キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 マンガのアニメ化といえば、声優陣が誰か、キャラクターの動きがどうなるか、という部分が最も気になるポイントでしょう。その一方で原作を忠実に再現して欲しい、と考えている人がほとんどです。しかし、なかには原作が大幅に改変されていながら、ファンから絶賛されたアニメもありました。

 2024年に放送された話題作では、「週刊少年ジャンプ」(集英社)の同題マンガを原作とする『鬼滅の刃 柱稽古編』があげられます。

 全8話で描かれた同作では、激化する鬼との戦いに備え、主人公「竈門炭治郎」をはじめ鬼殺隊の隊士が「柱」と呼ばれる指折りの精鋭から修行を受けます。原作の『柱稽古編』は単行本約2巻程度と短く、放送前はボリューム不足を心配する声もありましたが、いざ放送されると、それは杞憂に終わりました。

 例えばアニメ3話は、原作ではたった6コマの元音柱「宇髄天元」との修行をうまく膨らませ、続く4話も原作では前後のやり取りを含めても9コマ、修行となると1コマのみだった霞柱「時透無一郎」の修行を、無一郎の心情変化を描いた改変で好評でした。さらに蛇柱「伊黒小芭内」と風柱「不死川実弥」の対決に無一郎が乱入した迫力ある激戦もアニオリです。

 最終回手前の7話では、鬼の首領「鬼舞辻無惨」が鬼殺隊の責任者「産屋敷耀哉」の邸宅に侵入する様子も臨場感あふれるアニオリで描かれました。そして最終回では産屋敷が邸宅を爆破し、舞台を「無限城」に移して2025年内に上映予定の劇場版へとつながります。これまでの『鬼滅の刃』では、原作ストーリーを忠実に再現した内容だったため、「柱稽古編」ではファンにこれまでと違った新鮮さを与えたようです。

 同じく2024年放送の『忘却バッテリー』もアニオリで話題になりました。中学時代に怪物バッテリーとして活躍したキャッチャー「要圭」と、ピッチャー「清峰葉流火」のふたりが野球部のない小手指高校に進学し、同じく中学で野球を辞めた「山田太郎」や「千早瞬平」、「藤堂葵」とともに再起します。

 野球とギャグ要素がバランス良く合わさった本作は、アニメでは特に野球の描写でアニオリが見られました。例えば、原作1話の冒頭で、中学時代に怪物バッテリーと対決した山田の心が折れるシーンを、アニメでは、千早や藤堂、さらには強豪校のライバル「国都英一郎」も追加で怪物バッテリーに圧倒され、彼らの実力をより際立たせていました。

 また、第6話の藤堂が自身のトラウマと向き合うエピソードなど、アニメで補完され好評の場面が多くあります。迫力の名場面は原作者のみかわ絵子先生と原作の試合制作を担当する高嶋栄充先生も協力しており、評判も良く、2期制作が決定しました。

 ほかにも2022年放送の『ぼっち・ざ・ろっく!』では、同題4コママンガの原作から改変が加えられて話題になりました。主人公「後藤ひとり(通称:ぼっち)」がバンドグループ「結束バンド」に入り、さまざまな出会いを通して成長していく物語です。

 アニメ1話の冒頭から原作にはなかったひとりの幼稚園時代や、小学校で周囲から浮いていた様子が描かれ、より孤独感が強い演出になっています。ほかにもバンド仲間「伊地知虹夏」らと会話する場面でひとりの目線に動きが加わり、原作よりも挙動不審さが増していました。

 1話以降も登場人物のセリフ回しや演出が変更され、原作以上に彼女たちの想いや成長が伝わりやすく構成されています。新たな動きは発表されていませんが、続編が待望されている作品です。

(LUIS FIELD)

【画像】ねえ、炭治郎 タクシーの乗る向きが逆じゃない?(3枚)

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