「えっ、本物つれてきた?」 2025年冬アニメ初回からやりすぎたパロディ回
2025年の冬アニメは序盤からパロディに力を入れた作品が多く、意外性もあって話題になりました。そうした作品では本物に似すぎているどころか、関係者の協力で元ネタに忠実なほど再現したパロディが描かれているものもあります。
「やりすぎ」が心配になる本気のパロディ
2025年冬アニメは、初回からパロディがふんだんに使われた作品が複数放送されています。そのなかには、ご本人が登場する展開やかなりギリギリを攻めた演出もありました。
例えば、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』などを代表作に持つMAPPAのオリジナルTVアニメ『全修。』では、終盤に『風の谷のナウシカ』の「王蟲」や「巨神兵」を思わせる怪物が登場して話題になりました。同作はアニメ監督の主人公「広瀬ナツ子(CV:永瀬アンナ)」が仕事中に食べた弁当が原因で気を失い、子供の頃に夢中だったアニメ『滅びゆく物語』の世界に転生してしまう物語です。
冒頭では、ナツ子の代表作としてアニメ『スケバン魔法少女暗黒学園』という作品が描かれます。その主人公は金髪ポニーテールで額にはイナズマの模様、衣装はスケバンなのでセーラー服という出で立ちです。
見た目と、三石琴乃さんが声優を担当したことで、三石さんの代表作「美少女戦士セーラームーン」シリーズの主役「月野うさぎ」こと「セーラームーン」を連想した視聴者も多かったのではないでしょうか。『スケバン魔法少女』の決めゼリフも「お天道様が許しても、アタイのイナズマが許さないぜよ」で、どこかセーラームーンの決めセリフ「月にかわっておしおきよ」を思い出させます。
それ以外に『滅びゆく物語』で勇者「ルーク・ブレイブハート(CV:浦和希)」たちを率いる「バオバブ様」も、どことなく『ナウシカ』の「大ババ様」を思わせる出で立ちで、声優も「大ババ様」を務めた京田尚子さんでした。
また『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』も、多くのパロディが盛り込まれていました。例えば、東京から引っ越してきた主人公の「中村照秋(CV:大塚剛央)」がサーターアンダギーを知らないことが発覚し、魅力を伝えたい周囲から目をつけられた場面では「エヴァンゲリオン」シリーズのようなフォント配列や妄想の司令部シーンが描かれました。
また、路上でヒロインのひとり「比嘉夏菜(CV:ファイルーズあい)」に照秋が名字で呼びかけ、周囲の「比嘉」さんが皆、反応してしまう場面もありました。のちに照秋がゾンビ映画のようだったと思い返し、「ゾンビランドヒガ」と「ゾンビランドヒガR」のロゴが飛び出します。見るからに「ゾンビランドサガ」シリーズのタイトルロゴをパロディにした演出で、エンディングクレジットに協力会社として「ゾンビランドサガ制作委員会」も名を連ねていました。
上記2作品と少し違いますが『サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話』では、現実の居酒屋を思わせる場面もあります。主人公のサラリーマン「ウチムラ・デンノスケ(CV:小野友樹)」が異世界に召喚され、魔王軍の幹部として現実での経験を活かして手腕を発揮する物語です。
なぜか異世界なのに日本の居酒屋があり、第1話では店内にカバー曲ではなく工藤静香さん本人の歌う「MUGO・ん…色っぽい」が流れています。店内で昭和レトロな曲が流れているのは、ある意味で現実の居酒屋オマージュだと言えるでしょう。第2話でも川村カオリさんの「ZOO」が挿入歌として使用されており、居酒屋の店内で流れる昭和の歌謡曲はこの作品の恒例になるかもしれません。
昭和の歌謡曲を懐かしむような年代の視聴者には、どの曲が次に使用されるかも楽しみのひとつとなるでしょう。
(LUIS FIELD)