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昭和時代のファミコントラブル←何を思い出す? 「ドラクエ3をカツアゲされた…」

トラブルはどの時代にも存在します。なかでも当時のファミコンにまつわる問題や事案は、令和では考えにくい驚きのものがいくつもありました。実際に事件として報じられたものもあり、時代の違いを実感させられます。

トラブルどころか、犯罪レベルの問題も

人気のゲームソフトほど、さまざまな意味で狙われ、トラブルに巻き込まれるきっかけとなった。画像は「ファミリーコンピュータ」
人気のゲームソフトほど、さまざまな意味で狙われ、トラブルに巻き込まれるきっかけとなった。画像は「ファミリーコンピュータ」

 ゲームの中身は変わっても、TVゲームが楽しいのはいまも昔も変わりません。しかし、TVゲームを遊ぶ環境や状況は時代とともに移り変わっており、昭和のファミコン時代を振り返るとネタや笑い話では済まない出来事がいくつもありました。

●「カツアゲ」という名の恐喝・強盗

 ファミコンブームが起きた1980年代、子供たちは新しいゲームのためにお小遣いを貯めたり、お年玉でどれを買おうかと嬉々として考えていました。ファミコンのソフト(カートリッジ版)は、おおむね4000~5000円ほどなので、簡単に出せる金額ではありませんが、だからこそ買いに行ける日は喜びの最高潮になったものです。

 その気持ちが一気に叩き落とされてしまうのが、「カツアゲ」でした。カツアゲという言葉はいわゆる隠語で、脅しや暴力で金銭などを巻き上げる行為を指します。実態としては、恐喝や強盗に相当するといっていいでしょう。

 そしてカツアゲされるのは金銭だけではなく、ファミコンゲームも対象になりました。特に、当時大人気だった『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が発売されると、購入した子供たちを狙うカツアゲが何件も取り上げられ、「ドラクエ狩り」として広く報じられたほどです。

 誰もが被害に遭うほど頻度が高かったわけではないものの、表に出ずに泣き寝入りで終わるケースも十分あり得るため、正確な被害の規模は分かりません。そして、ゲームを買っただけで恐喝や強盗の被害を受ける可能性があるというのは、実に恐ろしい話です。

●独占禁止法違反の「抱き合わせ販売」

 例えば『ドラクエ3』のような人気ゲームになると、発売日以降に再入荷してもすぐ売り切れてしまい、「買うお金はあるのに遊べない」といったファミコンユーザーが頻出しました。そして、この人気と購買意欲の高さに目を付けた一部の店舗が、「抱き合わせ販売」に手を染めていきます。

「抱き合わせ販売」とは、人気のある商品と売れ残っている商品を組み合わせ、セットで販売するやり方のこと。先ほどの例に沿えば、『ドラクエ3』と不人気のゲームを抱き合わせることで、『ドラクエ3』を遊びたい人がまとめて買ってくれます。

 買う側からすれば、『ドラクエ3』だけ欲しいのに、2本分(場合によっては3本以上のケースも)の金額を払わねばならず、非常に理不尽です。しかし、『ドラクエ3』が抱き合わせでしか買えないならと、泣く泣く手を出してしまう人もいました。

 また、店舗と個人だけでなく、卸売業者が小売店に対して、人気ゲームと併せて他のゲームも仕入れるように強調した事例もありました。しかし、こうした「抱き合わせ販売」は独占禁止法に抵触する可能性があり、次第に廃れていきます。

●意図的? それともたまたま?「借りパク」という名の詐欺疑い

 ファミコンの色んなゲームで遊びたいけど、頻繁には買えない……この悩みを解決する手段のひとつとして、友達同士によるゲームソフトの貸し借りが広まりました。

 ゲームは、クリアするまでどうしても時間がかかりがちです。そして、クラス替えや進学などが挟まると、貸している友達との接点が自然と減り、返してもらう機会を失ってしまうことも決して少なくありません。

 もちろん借りた側が意識的に返却しなければなりませんが、タイミングを見失ってしまうのはよくある話です。ただし、進学などで別離が決まっているのを分かっていながらゲームを借りてそのまま音信不通になるというケースも皆無ではなく、「もしかして、狙ってやったのか?」と疑ってしまうこともありました。

 本当にタイミングを逸しただけなのか、それを装って「借りパク」したのか、本人を問い質さない限り真偽は分かりません。しかし、意図的でもたまたまでも、貸した側がゲームソフトを失ったのは事実。返却と謝罪がない限り、詐欺と思われても仕方のない話です。

「借りパク」自体は昭和どころかこの令和でも起きていますが、個人同士で通話ができるスマホ、オンラインで手軽につながれるSNSなど、いまなら連絡手段は数多くあります。しかし昭和や平成初期は、直接会う機会がなくなると接点自体が失われやすく、逃げ切られやすい時代でもありました。そのため「借りパク」の深刻さは、現代以上といえるでしょう。

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(臥待)

【画像】「えええええええ!」 こちらがスーパーファミコンで登場した「謎の親子カセット」です(4枚)

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