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『ガンダム』どう見ても「ドム」です…令和には出でこないたぶんアウトな昭和のゲーム

『機動戦士ガンダム』はゲーム界にも大きな影響を与えました。昔は無許可でモビルスーツを出演させるようなこともあったのです。令和にはまず考えられない、当時のゲームにおける「ガンダムぽいなにか」を振り返ります。

ゲームと『機動戦士ガンダム』の密接な関係

右のロボがホバー移動してバズーカ撃ってきます……さておき同作は3Dシューティングのハシリともいえる作品です。「『SEGA AGES スペースハリアー』 紹介映像」より (C)SEGA
右のロボがホバー移動してバズーカ撃ってきます……さておき同作は3Dシューティングのハシリともいえる作品です。「『SEGA AGES スペースハリアー』 紹介映像」より (C)SEGA

 アニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)の衝撃はアニメの枠を飛び越えて、ゲームにも波及しました。

 代表的な例のひとつが、セガ・エンタープライゼス(当時)の3Dシューティングゲーム『スペースハリアー』(1985年)です。敵のなかには『機動戦士ガンダム』のモビルスーツ(MS)「ドム」と同名の「ドム」というロボットが登場します。名前とフォルムがほとんど同じ、足を動かさないホバー移動にバズーカ装備、3機が並んでの攻撃と、元ネタは明白です。パソコン版が発売された際などは、この「ドム」をMS「ドム」に書き換える非公認のプログラムが出回りました。後に「ドム」は「バレル」と改名され、3Dリメイクではデザイン自体も変更されています。

 当時のゲーム界では、こうしたオマージュは珍しいものではありませんでした。カプコンの『サイドアーム』(1986年)には、「モビルスーツ」と名付けられたロボット兵器が登場します。自機が使う「メガ・バズーカ・ランチャー」は『機動戦士Zガンダム』の同名武器に似ていますし、「ザク」や「ズゴック」そっくりの敵も登場します。こちらも後年の移植版では敵のデザインが変えられました。

 同作のキャラクターデザインを担当したあきまん(安田 朗)氏は、のちに自身のPIXIVアカウントへ投稿したイラストのなかで『Zガンダム』からの影響を語っています(「サイドアーム25周年記念」2011年3月9日投稿)。

 また同作の開発スタッフである岡本吉起氏は、自身のYouTubeチャンネル動画「【裏話】アーケード『サイドアーム(SIDEARMS)』開発の参考となった作品とは?」(2022年7月2日投稿)にて「ゲーム画面のなかに、ずいぶん見たことのあるモビルスーツが登場する」「もちろん版権はとっていません」と、『サイドアーム』における『Zガンダム』の影響について述べており、当時の時代性がうかがえます。

 これらの作品に限らず、「白い主役機」や「赤いライバル機との対決」、「大気圏突入時の攻防」といったシチュエーションの見られるゲーム作品は枚挙にいとまがなく、『ガンダム』のメカや戦闘描写がそれだけ衝撃的であったことが分かるのです。

 なお上述の岡本氏は、のちに正規の「ガンダム」タイトルであるアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン』(2001年/開発元:カプコン/発売元:バンプレスト)を制作します(家庭用ゲーム機版の発売元はバンダイ)。このときも権利関係での認識不足があったとかで、バンダイ側へプログラムの根幹であるソースコードを引き渡すという、通常あり得ない譲歩をして発売にこぎつけたそうです(YouTube 岡本吉起ゲームch「過去最高の売上を誇るガンダムゲームの開発に携わりました【機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン】」2020年12月31日投稿)。

 逆にゲームからは、シミュレーション『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(1998年/バンダイ)の「キャスバル専用ガンダム」や『SDガンダム GGENERATION モノアイガンダムズ』(2002年/バンダイ)の「シスクード」といったオリジナル機体も生まれ、ファンに愛されています。

「ガンダム」シリーズとゲームは、いまや二人三脚となり、互いに欠かせない存在といえるでしょう。

(箭本進一)

【画像】実はこいつもゲーム出身 こちら「ガンダム」ゲームから生まれ広く親しまれる人気の機体です(4枚)

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