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『TRICK』放送から25年 涙で迎える“伝説の10分”と「叶わなかった願い」

仲間由紀恵さんと阿部寛さんの名コンビで知られるドラマ『TRICK』は、完結から10年以上が経った今も根強い人気を誇ります。シリーズの締めくくりとなった『トリック劇場版 ラストステージ』は、14年にわたる歴史の集大成にふさわしいラストを迎えました。果たして、どのような内容だったのでしょうか?

全TRICKファンが涙「YOU……本物の?」

画像は、『「トリック劇場版 ラストステージ」公開記念! さよなら!トリック 公式パーフェクトBOOK』(KADOKAWA)
画像は、『「トリック劇場版 ラストステージ」公開記念! さよなら!トリック 公式パーフェクトBOOK』(KADOKAWA)

『TRICK(トリック)』ファンの心に深く刻まれた、シリーズ完結編のラストを覚えていますか?

 2000年に連続ドラマとして始まり、映画やTVスペシャルへと展開してきた「TRICK」シリーズは、2014年公開の『トリック劇場版 ラストステージ』をもって完結を迎えました。なかでもクライマックスにあたる「ラスト10分」は、14年にわたる歴史の集大成ともいえる内容で、今なお多くのファンの間で語り継がれています。

 そもそも『TRICK』は、自称売れっ子マジシャンの「山田奈緒子(演:仲間由紀恵)」と、物理学者の「上田次郎(演:阿部寛)」による凸凹コンビが、摩訶不思議な事件のインチキトリックを暴いていくミステリードラマです。

 一見すると、ふたりのコミカルな掛け合いが魅力のシリーズですが、不気味な要素やシリアスな展開も多く、後味の悪い結末で幕を閉じるエピソードも少なくありません。その緊張感のなかに、パロディや時事ネタなどの笑いを巧みに差し込むバランス感覚こそが本作最大の魅力であり、多くのファンを惹きつけてきた理由でもあります。

 そんなシリーズの集大成となった『トリック劇場版 ラストステージ』では、呪術師「ボノイズンミ(演:水原希子)」の霊能力を解明するため、奈緒子たちが東南アジアのとある村を訪れました。

 しかし物語の終盤、奈緒子は村で起きた爆発事故に巻き込まれて消息不明になります。そして映画のラスト10分では、シリーズ第1話を彷彿とさせるように、上田が自称霊能力たちに対して「もし本物の霊能力を目の前で見せれば賞金を渡す」と挑戦状を叩きつける場面が描かれます。

 その後、ひとり研究室で待ち続ける上田の姿とともに、静かにエンドロールへと入っていきますが、実はエンドロール明けには、さらなる展開が用意されていました。爆発事故で記憶を失った奈緒子が、挑戦者として上田の前に姿を現すのです。

 しかもシリーズ第1話と同じ場所で、同じ手品を披露するという、まさにふたりの出会いのシーンをなぞるような演出でした。かつてと同じようで、どこか違う彼女を見つめる上田の表情には、さまざまな想いがにじみ出ており、思わず涙を誘われた人も多かったのではないでしょうか?

 また本作のラストが高く評価されている理由は、それだけにとどまりません。もともと「TRICK」シリーズは、超常現象や霊能力といった眉唾ものの真相を、論理と科学で暴いていくスタイルが特徴でした。そうした作品の根底にあるテーマを体現する存在として、実在の奇術師「ハリー・フーディーニ」の名前が、シリーズ1作目や完結編の冒頭でも登場しています。

 フーディーニは、霊能力者のインチキを暴いていたことでも知られていますが、その背景には、本物の霊能力者を見つけ出し、亡き最愛の母とコンタクトをとるという切実な願いがありました。ラスト10分で上田が霊能力者に挑戦状を叩きつけたのも、まさに同じ思いによるものです。結局フーディーニの願いは叶いませんでしたが、彼が果たせなかった「大切な人との再会」が描かれた本作の結末は、シリーズを見続けてきたファンにこそ深く響いたはずです。

 奈緒子と上田が再会を果たしたことで、新シリーズの制作を望む声もいまだに多く聞かれます。放送から25年が過ぎた今もなお、ファンの熱が冷めやらないことこそ、『TRICK』が名作であることの何よりの証かもしれません。

(ハララ書房)

【画像】えっ、実在してたっけ? 勘違いしそうなほどリアルな『TRICK』上田次郎先生の出版物です(3枚)

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ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。