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『ばけばけ』6話、ヒロインの祖父が「超大事な事」を言った? 今後の伏線になりそうな「占いの場所」

朝ドラ『ばけばけ』6話では、小日向文世さん演じる祖父が、ある大事な歌を詠んでいます。

祖父が詠んだ歌の作者は

『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 1890年に来日し、『怪談』『知られぬ日本の面影』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、「怪談」を愛し彼を支えた妻の小泉セツさんの生涯をモデルにしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が婿養子をとることを決め、松江の八重垣神社で恋占いをした場面が話題になっています。

※この記事では『ばけばけ』の今後の展開に関わる史実の情報に触れています。

 6話では占「結婚の時期と相手が住んでいる場所を占う」紙がなかなか沈まなかったため、縁談が決まらないのではないかと嘆くトキに対し、松野家の祖父「勘右衛門(演:小日向文世)」が、「由緒正しき縁結びの地」である八重垣神社の占いは当たるだろうと語るシーンがありました。

 この場面で勘右衛門は、『古事記』に記されている日本最古の和歌で、八重垣神社の名前の由来でもある

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

 を引用しました。この歌に「八雲」という言葉が含まれていることが、SNSで話題になっているようです。

 この和歌は日本神話の神「素盞嗚尊(スサノオノミコト)」が、蛇の怪物「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」を退治して救った「櫛稲田姫(クシナダヒメ)」と結婚したときに詠った、喜びの歌だと言われています。「八雲」は「幾重にも重なった雲」という意味です。

 多くの人がSNSで語っている通り、『ばけばけ』の「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストゥ)」のモデル、ラフカディオ・ハーンさんの日本名である小泉八雲は、上記の和歌の「八雲」からとられています。

 ハーンさんは1884年にニューオーリンズで開かれた万博で日本文化に興味を持ち、さらに30代後半でニューヨークに住んでいた頃にイギリス人の日本研究家バジル・ホール・チェンバレンさんが翻訳した『古事記』を読んで感銘を受け、来日を決意したそうです。

 そしてハーンさんは1890年にハーパー社という新聞社の特派員として来日し、その後転職して40歳で松江の尋常中学校の英語教師になりました。そして1891年2月、住み込みの女中として働きに来たセツさんと出会います。1891年8月にセツさんと夫婦になったハーンさんは、その後、複雑な手続きを経て1896年2月に正式にセツさんと結婚、日本国籍を取得して小泉八雲に改名しました。

 八雲さんのひ孫である小泉凡さんの書籍『セツと八雲』(朝日新聞出版)によれば、当時彼はアメリカの友人であるエルウッド・ヘンドリックさんという人物に「『八雲』とは『出雲』ということばの私的な代用語で、『雲がわき出る国』という意味であり、わたしがもっとも好きな地方名なのです」という手紙を送っていたそうです。

 また、『古事記』の和歌からとった八雲という名前を決めたのは、本人ではなくセツさんの養祖父の稲垣万右衛門さん(セツさんは生家の小泉家から親戚の稲垣家に養子に出されていた)だと言われています。

 万右衛門さんがモデルと思われる勘右衛門が6話で「八雲立つ」の歌を詠んだのは、のちに彼がヘブンの日本名を付けることの伏線なのでしょうか。まだまだ先の話でしょうが、『ばけばけ』での「八雲誕生」の場面に注目です。

※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ「めっちゃオシャレな写真」「八雲さんそんな身長低かったの?」 コチラが『ばけばけ』モデルの主人公夫婦の2ショットです

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